かものはし日記2001年6月号


6月1日

昨日のカナダ戦の興奮を再現するために
スポーツ新聞を買ってくる
スポーツ新聞て
いつもわくわくしながら買うんだけれど
内容がすごく薄いのでいつもがっかり
(テレビとあんまり変わらない)
ゴルフとつりと競馬のページは読まないし
でも
普通の新聞の政治面も実は内容が薄いということに
最近気付いた

平日の昼間にキャッチボールをしてくれる相手など
近所に見つかるわけもなく
壁のある公園を探しに
(ひとりで練習するには壁がないとね)
自転車で旅に出るが
見つからず

蚊にいっぱい食われる
思うに
気のせいかもしれないけれど
蚊に食われる場所は毎年同じ、
だと思いません?
もし
蚊が体の悪い場所の悪い血を吸ってくれていたら
素敵だね
(ああ、この人は夏ばて気味だから、この辺の血を吸っておくと
元気になるな、とかいって)

苦言
携帯のメールチェックをしながら人と話すな
目の前におれがいるんだから
おれと話せよ
失礼だよ
という人が最近多い(おれが古いのかもしれんが)

6月2日

カメルーン戦を前に
ビールと友人に頂いた高級明太子と鮭の粕漬けを用意
うまい!そして快勝!
パス廻しも早いし
違うチームのよう
次のブラジル戦は消化試合だから
主力は休ませて若手を起用するのかな
ブラジル相手に主力をはずせるかっこよさ

6月4日

朝起きたら首を蚊に食われていた
暑い
光化学スモッグ注意報も発令
ちょうど去年引っ越してきたのと同じ時期に
同じマンションの2階でオープンした美容院がつぶれる
1年間持たなかった
プログレファンの編集者さんとおそば
そして
ブラジル戦
王者ブラジルでもタレント不作の年があるのかな
今ひとつぱっとしない選手達
日本の組織力がブラジルの個人技を封じているのかどうかは
素人には全く分からないんだけど
ブラジルの選手が
ゴール前の決定的なチャンスを逃したときに
アナウンサーの「お前は本当にブラジル人かぁ」
というコメントには笑えた
そのくらいミスが多かった
しかし、相手の事情がどうであれ
2勝1分け勝ち点7で予選一位通過
日本は本当に強くなったのだね
あとはフランスにリベンジ

6月5日

映画通の編集者さんが遊びに来る
ふたたびそば
昨日は田舎そば今日は五色そば
公開時は評判がよくなかった邦画「クロスファイア」で盛り上がる
いい映画なのに
矢田亜希子もかわいいし・・
今度来るときはグラブ持参で来てね
キャッチボールをやろうね
と言って別れる(笑)

そういえば彼は
最近、俳句プラスドローイングが来ないんですけれど
とも言っていたね
まあ、最近送ってないからね(笑)

6月6日

次の絵本の企画が通りました
今度の絵本は
宮沢賢治の詩「原体剣舞連」を絵本にします
4年ほど前からやりたかった企画で
ようやく出来ることにあいなりました
よく意味の分からない詩なのですが
あふれるような生命力と想像力
そして和太鼓のリズム感
を感じる詩で
10年ほど前に勅使河原三郎氏の「dadasukodada」という
原体剣舞連を題材にした
ダンスパフォーマンスを観たときに初めてその詩の存在を知りました
今までのほのぼのとした絵本とは違って
けっこうハードな内容なので
うまく描けるかどうかちょっと武者震い(笑)

今日あたりから梅雨入り
気圧が低いので何となく体がだらっとしているけれど
8月の展覧会の描き下ろしの絵を
ゆるゆると・・
なんとなく描いている紙がしっとりと水っぽいところが梅雨だね
鉛筆ののりが悪い

今日はハンバーグ
タマネギ超嫌い妻のために
タマネギを
遺伝子レベルでしか判別がつかないくらいみじん切りにしたつもりなのだが
彼女はびくびくと
ハンバーグを食べていました
(そんなに嫌いか)
しょうがないな
次はつなぎに切り干し大根か
もしくはセロリを使うか
甘みを出すならキャベツというのも可能だが、それじゃメンチカツ
(何か良いアイディアがあったら教えてね)

6月7日

絵本の打ち合わせをしていたら
突然空が暗くなって
雷雨
大きな粒の雨が空から降ってきた
絵本は
A4版カラー64ページのハードカバーで決まり
絵本というよりは画集です
詩画集
大作なので大変だけれど
今年中には何とか出したいです

サッカー日本対豪州
すごい豪雨の中
みんな頑張りました、偉い!
決勝進出
すごいね、ほんとかね
世界中でよってたかって日本をだましているんじゃないだろうね
わざと負けてさ
中田選手は決勝に出ずに
ローマに帰るそうですが
ローマで中田が頑張って
中田抜きでもけっこう強い日本がフランスに雪辱して・・
ああ、なんて素敵なんだろう
うっとり

絵本「まあるくなって」、評判がいいようでうれしいです
3冊の絵本の中ではいちばん気に入ってます
メールをくださった方
ありがとおう!

6月8日

左足を引きずって帰還
というのも
多摩川河川敷で
友人に誘われ草野球チームの練習に参加
2時から6時まで4時間みっちり練習
念願のキャッチボールもしたし
ノックもして貰ったし
バッティングもさせて貰って
とてもうれしかった
20数年ぶりの野球だったけれど
いくつかフライもとれるし、ボールもバットに当たるし
先行き明るいぞ
ただボールを思いっきり投げるのが怖い
左手は商売道具だし
ちょっと強く投げると手がしびれるし
このあたりは少しずつ慣れないとね
あとは下半身の強化かな
草野球とはいえ侮るなかれ
終わったあとファミレスでの野球理論に関する熱い議論
みんなマジだな

6月9日

朝起きると下半身が激痛
ゴミを出しに行くのに苦労しました
でも
おれもまだ若いってこと?
年齢と共に筋肉痛って遅れて来るらしいし
僕ぐらいの歳だと2日後に筋肉痛がくるらしい

6月10日

筋肉痛も午後にはだいぶ治まってきました

昔すんでいたところの近所に
バッティングセンターがあるのを思い出し
自転車で出かけてみる
引っ越したのは4年ほど前なのに
まわりはすっかり変わっていて
大きなマンションだらけ
そして
マンションとマンションの間に
ひっそりと
奇跡的に
バッティングセンターが残っていた
きっと高圧線の巨大な鉄塔の下なので
なにも建てられないんだろうね
今日はコンタクトをしていないので
入るのはやめた
これからバッティングセンター通いか?
それとも下半身の強化が先か

妻に
草野球を趣味にするのね
と言われたので
そうじゃないよ
団体行動を趣味にしたんだよ
と答える
ひとりぼっちで絵を描いているとさみしいのさ

梅雨前線が
サッカーのディフェンスラインのように
上がったり
下がったりする
不安定な空模様
今日も午後から豪雨
今日は大丈夫かなと思いつつ
日本フランス戦
惜しくも負けてしまったけれど
後半はめちゃめちゃおもしろかった
エレガントなチームだねえ
フランスは
そんなにすごい人はいないのに
いるべきところにちゃんと人がいて
何をやるべきかが分かっている
日本もあーゆうサッカーを目指すんだろうね
いいお手本でした

6月13日

去年国会でも話題になった映画
バトル・ロワイアルをビデオで観る
パッケージには痛いほどの感動とか書いてあるのだが
ついにどこで感動していいか分からなかった
子供達にこんなメッセージしか送れない大人って・・

今日は水餃子を作ろうと思って材料を買ったのだけれど
テレビのオフレコという番組で
完璧な焼き餃子を作るための4ヶ条というのをやっていて
焼き餃子に変更

焼き上がりは完璧
プロみたい
でも中身のジューシーさがいまいち
今後の課題です

6月14日

加藤は反復音楽に弱い
同じ旋律が延々と続く反復音楽
ジャンル的には現代音楽だけれど
民族音楽がオリジナル(ガムランとか)
ぐるぐると円を描くのように旋律が踊り
少しずつ少しずつ
そのダンスは天空へと変化して
螺旋運動を始める
僕の絵本「まあるくなって」のストーリー展開も
その辺からきているのかなあ
と我ながら思いつつ
フィリップグラスの反復音楽を聴く
雨にあうんだ、これが
1999年の作品「アマゾンの流れ」

今日妻のおかあさんから電話があり
死にかけた子猫を拾って
その子に
「オイデ」という名前を付けたのよ
と話してくださいました
僕の絵本「いちばん猫」に出てくる主人公猫ですね
いろいろ気を使っていただいてすいません(笑)
元気に育ってね
そのうち会いに行きます

6月17日

夕方
聞かないCDをディスクユニオンに売りに行き
そのお金で
アバンギャルドな琴のCD「ゆらる」を買い
ビールを買い
トウモロコシを買って
キングクリムゾンのような琴の演奏を聴きながら
ビールを飲んで
トウモロコシを食べて
梅雨の晴れ間のさわやかな風を感じる
しあわせだねえ

6月18日

ローマ優勝
パンツ一枚にされたトッツィー
逃げる中田
イタリア人ってほんとバカだな(笑)
日本もこのくらいバカにならないとね

友人に勧められた映画
地雷を踏んだら、さようなら
を観る
ほとんど話題にもならなかったけれど
なかなか素敵な映画
26才で逝った戦場カメラマン一ノ瀬泰造の実話の映画化
浅野忠信のいちばんのはまり役
自分の中の中心にいつも照準を合わせようとしている人は
とても素敵
そしてそういう人は子供に好かれる
バトル・ロワイアル観るよりよっぽどいい、と思う

6月19日

日本が誇る最高のジャズミュージシャンの一人
大友良英(日本が誇る世界のオオトモといえば彼さ!)の新作を2枚聞く
一枚目は重厚な雰囲気のジャズカルテット「FLUTTER」
オリジナル曲の他、エリックドルフィーの曲も
もう一枚は
SACHIKO Mという女性ミュージシャン(サンプラー)と共作の
「FILAMENT」
えんえんと続くサイン波が耳に痛くて
最後まで聞けない(笑)
なんとライブ版らしくて
これを聞きに行った人はさぞ辛かったでしょう

6月20日

朝、散歩をしていたら
パチンコ屋さんの前に行列
平日の朝方にパチンコ屋に並べるのは
学生とお年寄り
並びながら若者とお年寄りがパチンコの話題で盛り上がっていて
なかなかのコミュニティになっているなあ、って感心

お昼は
友人のオブジェ作家(スキンヘッド)とその美人妻(デザイナー)と
僕と妻の四人で会食
お化けの話で盛り上がる

午後は弟(画家)の展覧会(上野)に行く
相変わらず等身大のねーちゃんばかりを描いている
年々身につけているものが少なくなり
とうとうすっぽんぽん

上野公園の森は
なんか落ち着かない

夕方は散髪屋さんへ
坊主刈りにしてくださいと言っても
信じてもらえず
結構長めのスポーツ刈り

ということで
今日は仕事をせず
くだらないことをしようと思って
チャーリーズ・エンジェルを借りて観たら
ほんとにくだらなかった(笑)
でもみんなかわいかったけどね

6月21日

コルトレーンのスピリチュアルな曲ばかりを集めた企画もののCDを
近所の中古屋で見つけて買う
(聞いてみたら全部知っていたのだけれど)
40才の若さで亡くなってしまったコルトレーンは
死ぬ間際の数年間
スピリチュアルな宗教的な方向に傾倒していき
そういったテーマの曲をたくさん作りました
いちばん好きなのは
ドラムのラシッド・アリとの共演で生まれた傑作
インターステラースペース
ドラムとソプラノサックスだけで
40分ずーっと

ここ数日体調が悪くて
だましだましやっていたのだがついに故障者リストに名前が・・
(誕生日が同じだから新庄とシンクロ)
しかし
夜は友人と宴の約束
ハイアップ2本を飲んで出かける

6月22日

昨日のお酒がやけにいいお酒だったらしく
ぐっする眠れて
体がすっきり
お酒って薬なんだね〜

編集者さんとサッカー話
同業者(イラストレーター)で
スポーツの話が出来る人ってあんまりいないんだよね

友人と長電話
彼とはよく電話で話しているので
とても身近なのだが
2年くらい会っていないような気が
顔を忘れないうちに会おうね(笑)
飲もうね

6月23日

妻の友人と会食
ニューヨークに6年留学していた女の子とその彼氏
彼氏は画家
女の子は目が大きくて元気な流線型少女
彼氏はナイーブな芸術家青年
(どう見ても板前にしか見えないおれとは大違い)
このカップルは長く続きそうだなとおじさんは思ったのさ(笑)

6月24日

暑い
梅雨の晴れ間は夏と一緒だ

6月25日

ダンサー・イン・ザ・ダークを3日かけて観る
おかげで延滞料金を払ってしまった
とてもじゃないけど辛くて通して観られないよ
(実はすごく期待していたのだけれど)
監督ラース・フォン・トリアーの
相変わらずの
生々しいドキュメンタリーのようなカメラワークと編集には
すごすぎてついていけない
めずらしく世界的にヒットしたから
カメラワークももっと洗練されて観やすくなっているのかと思ったのだが
甘かったな
いったいどこに感動していいのかわからない
救いのない映画
(最近多い)
どうしてこんな映画がヒットしたのか
辛い日常には少しの魔法(ミュージカルの妄想)が必要ってこと?
それはそうだけれど
最後まで妄想じゃあ
もう一度息子と一緒に一からやり直すのが愛だろ
ずいぶん勝手でひたすら思いこみの強いおかあさんでした
そういうキャラがビョークに合いすぎてさらに辛い

友人と長電話をしていたら
妻に毎週頼まれているアニメ「犬夜叉」の録画を忘れる
なんでこんなもの毎週・・
でも猫又、雲母(きらら)は大好き

夜中の2時
蚊がいて眠れず
蚊取り線香を買いに行く
夜中なのに人がいっぱい

6月26日

フリージャズのCDをネットで大量購入していたのが届く
(最近何でもネットで買うおれ)
わーい
朝からガンガン聞いていたら
妻が心臓がドキドキすると言うので
とりあえず止める
(好きじゃない人が聞いたら、ただの工事現場の雑音だからね)
彼女が仕事に出かけてから
ガンガン聞く(笑)

カピバラの写真をネットでゲット
壁紙を張り替える
お母さんカピバラと8匹の子供カピバラ!

ダンサー・イン・ザ・ダークの口直しというか目直しというか
エリック・ヴァリ監督の「キャラバン」を観る
素敵な映画でした
(観てはいないがセブン・イヤーズ・イン・チベットは評判悪いんだけれど)
対立と愛を受け入れるヒマラヤの人々
長老と若者の対立にはハラハラしちゃうんだけど
対立を受け入れる骨太さがすばらしい
おすすめ

6月27日

いつものことだが
宴会のあと電車の中で気持ちが悪くなって吐きそうになると
吐いてはいけないという理性が
体の全機能をストップさせ
気を失う妻
(すごい理性だ)
彼女から今救急車に乗っているの、という電話があり
近所の救急病院に運ばれるということなので
夜中、自転車で向かう
(そういえば昨日も夜中出かけたな)
着いた頃にはすっかり元気になっていて
点滴を打って退院
救急隊員の人はとても親切な人でした
看護婦さんも点滴やっているうちに寝ちゃったけれど
とても親切(疲れているのね)
ありがとうございます
お手数かけました

映画「キャラバン」で
仏画を描く絵師がでてきて
弟子が彼に
この絵はどのくらいでできあがるのですか?と聞くと
それは神様だけが知っていると答える素敵なシーンがあるのだけれど
これを編集者にいったら叱られるだろうね(笑)

エアコンが壊れる
最近ろくなことがない


back