かものはし日記2003年4月号


4月1日

桜もほぼ満開
洗濯日和
そろそろ花粉症がぬけるはずなんだけれど・・

4月2日

浅草に作務衣を買いに行く
それなりの値段の
外へでも着ていけるモノを買いました
下町に住むのならば、それなりのカッコをせねば(笑)
今日は
作務衣を着て散歩
作務衣を着て編集さんと打ち合わせ
編集さんに「なじんでるねえ」と言われたけど
雪駄がないのでちょっとかっこ悪いか
(下駄はうるさいしね)

4月3日

桜も満開
風は、初夏の風のようにさわやか
(初夏というにはちょっと肌寒い風だけれど)
背景は桜色に変更
花粉症も治ったみたい
素敵な日じゃないか
世界はちっとも素敵じゃないけれど
ささやかな素敵さを見つけるという積み重ねで
きっと素敵になる
好きなものに素直に好きだと語りかければ
世界はちゃんと変化していくはず

4月4日

密かに進んでいたウインドウズに乗り換え計画
ペンティアム4 2.53GHZ
の自作AT互換機を組上げて
順調にマザーボードのbiosも立ち上がり
いざウインドウズXPをインストール!
と、ここまではよかったのだけれど
何度やってもうまくいかず
パーツの相性が悪いのが原因かもと
マックの増設ハードディスクを入れ替えたりして
四苦八苦する

ふてくされて眠る

4月5日

今日は冷たい雨
異常気象にもかかわらず
桜と雨は毎年セットだ
桜には雨が一番良く似合う

朝から自作パソコンと格闘し
夕方ようやく原因を究明
無事XPをインストール
教訓
安いメモリを買うのはよしましょう
どうやら他のパーツと相性が悪かったみたい
パーツの相性というのは結構あるようです
機械も複雑になると人間と一緒だね

4月6日

浅草でお花見
桜の花びらより人の方が多い
あちこちでいろいろな集まりがあって、お酒を酌み交わしている
それがどういうつながりで集まっているグループなのかを推察するのが楽しい
迷彩服を着た兄ちゃんたちの集まり
ああこれはサバイバルゲームの会かなにかの宴会かな、とかね
二人のおじさんが花見の場所とりで大喧嘩をしている
これの規模がおおきいものが
アメリカとイラクの戦争
そのへんのおっさんの揉め事ならばたいした問題にはならないけれど
影響力の大きい人間がけんかをすると戦争になる
スケールの問題
後半後藤が合流し
3人のデザイナーのお姉さま方と後藤と5人で飲み屋へ
みんな、それなりに(笑)元気そうでなにより

4月7日

午前中は洗濯
今月締め切りの天使のイラストのラフが通らず
午後は猫のようにまったりと過ごす
ごろごろごろ

4月8日

春の嵐
大粒の雨と強い風
傘も差さずに出かけてしまい
びしょぬれ

4月9日

ヤンキース松井満塁弾
すごいね
大方の予想では彼の繊細さがあだになって
大リーグでは活躍できないかも、といわれていたけれど
そんな予想もどこ吹く風
彼の人間力に乾杯
彼の健全なエネルギーの解放に乾杯

4月10日

バクダット陥落
アメリカの装甲車が引っ張って(イラクの国民ではない)
フセインの銅像が倒されるが、途中で引っかかって
落ちてこない
自重で落ちないなんて
まるでセットのようなはりぼて銅像
本当に、バクダットは陥落したのか
本当にイラクの人たちは喜んでいるのか
何か現実味のないニュース映像
アメリカが映画カプリコン1のように
バクダットの町並みのセットを組んで映像を捏造しているのではないか
と電話で話す友人
アメリカの正義は正しかったの?
「正義」なんて
アメリカのアクション御伽噺映画にしか出てこない迷信だと思っていたよ
正義は常に急ぎすぎる
それゆえ
正義は副作用が大きい
ゆっくりと
善意と
悪意と
やさしさと
非情さと
忍耐力と
勇気をもって
世界を変えてほしい
正義という単純な概念だけで世界を変えるな

4月11日

僕の作ったAT互換機が、いつも4こま漫画を連載しているアスキーで
ちっちゃく紹介してくれるそうで
とてもうれしい
かわいい娘を見せるような(笑)
コンピューターの名前はanakuron
もちろん、今はなき愛猫アナクロから取りました

北野武監督のドールズをビデオで観る
もっといかれたバカ恋物語にしてほしかった
恋というのは、もともとアナーキーなもの
二人が幸せならば、周りはどうでもいいわけだから(笑)
周りのことが気になり始めたら
そりゃ、「愛」になっちゃうものね
恋から愛への境界線を踏み越えずにどこまでいけるか、っていう映画でした
でも、結局死んじゃったりするので
中途半端なんだよね

4月12日

案ずるより生むが易し
というのは
脳みそより身体のほうが優れているということ
頭で考えても
よぎるのは恐怖心だけ
実際行動してみると
意外と簡単だったりする
脳みその想像力(妄想力?)より
身体の創造力!

4月13日

最高気温23度
初夏のような一日
一年で一番さわやかな季節になりました
空の青と緑で目が痛い(笑)
街はカップルがいっぱい
平和は素敵だよ、戦争を仕掛けた人たちよ
俺、平和ボケって言葉好きなんだよね
だって
平和で何が悪いんだよ

4月14日

曇天
天気が変わりやすいのも春らしい
世界は刻々と変化していく
晴れの日もあれば曇りの日もあって
人との関係も
別れもあれば出会いもある
変化をさびしいと考えるか、楽しいと考えるかで
未来は変わってくる
未来を変えられるのは
ささやかな意思だけ
意識のある生命体がこの宇宙に存在するのは
不変だった未来を可変にするためかもね
宇宙も変化を求めている

4月15日

何の気なしに観た
春の新ドラマ、仲間由紀恵主演「顔」がなかなかよかった
鑑識の似顔絵描きをしていた県警の広報課の女性が主人公
癒し系刑事ドラマ?
シリアスなオダギリジョーもいいね
顔がテーマのドラマ
人のメンタリティはすべて顔に出る
人は見た目なのだ
そして
横顔のほうがわかりやすい
正面顔より無防備だから

4月16日

なんでジャズが好きなのかというと
「空元気」だから。
黒人差別の中から生まれたジャズの生い立ちは暗い
そういうつらさが
軽やかにポジティブに音楽に変換されていく奇跡を体験できる
でもやっぱりつらい
現実的につらいんだから
つらさの問題が自分の外側にあるのだからどうしようもない
どうしようもないけど
元気を出そう
そういう空元気さが素敵なんだよね
決して自己憐憫に陥らない
意味もなく元気なのも、もちろん素敵だけど
空元気はもっと素敵
宇宙から送られてきたようなモーツアルトの音楽より
人間が泥だらけになって生み出した音楽
「朝日のようにさわやかに」
この曲は誰が演奏しても大好き
空元気を死ぬまでやりとおせば元気と同じ
そういうのが僕の好きなジャズ

4月17日

久々に一階の豆腐屋の大家さんのところに
お豆腐を買いに行ったら
お豆腐と一緒に大量の文庫本を下さった
ほとんど中国の古典ばかり
加藤さんならわかる、とか言われて(笑)
わかんねーよ
呆然として、大量の文庫本を抱えてエレベータへ
恐るべき下町をまた体験する
冷奴をつまみながら
ぺらぺらと難しそうな本をめくる

4月18日

4コマ漫画をかくために
とある漫画作成ソフトを買って
タブレットだけで下描き、ペン入れをしてみる
(10年ほど前に大量に買い込んだニッコー(倒産)の丸ペンがなくなってきたし
保存が悪いせいか残っているペンも描きづらくなっているのさ)
うーむ、なんか使いにくいソフト
サポートセンターに電話して使いにくいって言っちゃった(笑)
生まれて初めて漫画にトーンを貼ってみたりする
トーンをレイヤーとして認識できて
フォトショップのファイルに書き出しができるところはすばらしい
丸ペンでがりがり描かずに済むところもいいかも

近所にこの辺ではめずらしくおしゃれなバーができた
メニューを見ると泡盛もある
値段も手ごろだ
ちょっと入ってみようかな
いや
いつも行っている飲み屋の親父の顔が浮かぶ

4月19日

友人の女性が下町に引っ越したいから
長屋か古い平屋の一戸建てを探しておいて、と電話がある
そんな物件があったら俺が住むよって感じだけれど
彼女はべらんめえ調で威勢がよくて気品も備えたねーちゃんなので
さぞかし下町が合うでしょうね
下町の人気者になるね、きっと

4月20日

たとえば軍隊で言えば
軍隊に入りたい人ばかりで軍隊が構成されてしまうと
それはかなり危険な組織になってしまうわけです
朝から晩まで声を張り上げて
お願いに回り
実現しそうもないことを平気で話し
知らない人に臆面もなく頭を下げる
そういうメンタリティの人たちばかりが集まってしまう政治の世界
どうすればバラエティに富んだ人材が集まる組織になるんだろうね
この世界はホログラフィックにできている
部分と全体はいっしょなのだ
小さいことを一生懸命やれば
大きいことはひとりでに片付いていく
そういう視点を持った人たちが当選してくれるといいんだけど

4月21日

6階の自室の窓から下を見ると
からすの死体が平屋の屋根に。
翼を広げたカラスは本当に大きい
カラスたちは都会を自分たちの生きる場所としてうまく適応しているけれど
死んで土に帰る場所はなかったのね
死ぬ瞬間まで土のある地面を探しまわり
力尽きてトタン屋根に落下したのかも

たかがちょんまげを切ったくらいで
反省したつもりになっている態度が幼稚だ
こんな馬鹿な議員に一票入れた人たちにも責任はあるはず
選挙権は義務ではなく責任だ
議員が不祥事をしたら
その不祥事によって損失した税金を
(もちろんその議員に今まで払った給与も含む)
投票した人たちに払わせるというシステムはいかが?
多分
誰も投票所に行かなくなると思うけど(笑)

政治家がその職種の性格上
清廉潔白な人間であれとは決して言わないよ
裏で悪いことをしても決してばれず
表ではすばらしい政策をするような
清濁併せ持った
繊細でプロフェッショナルな本当の悪党というやつが出てこないものかね
小悪党ばかりでつまんない
こういうやつらは悪でもなんでもない
ただ下品なだけ
誤解を恐れずに言えば
本当の悪って
世界を変える純粋なエネルギーなんだと思う
純粋さとは本当に恐ろしいものなんだよ、きっと
どんなことでもそうだけれど
本当に変化を求めるのなら
相当な覚悟が必要だよね

4月22日

新宿御苑に桜を見に行く
桜にもいろいろ種類があって
今頃満開の桜もあるのだ
イチヨウという名前らしい
ゴージャズな桜
誰にでも時が満ちれば花開くときがあって
早咲きの人がいれば
遅咲きの人もいて
花の種類は人の数だけあって
あの人はどんな花が咲くのだろうと夢想する

4月23日

昨日がいい天気だったのに
今日は雨がふったり風が強かったりと
不安定な春の天気
でも
この不安定さが
夏の緑をはぐくむのだ
自然というのは不思議だね

4月24日

少し日が差してきたので
浅草近辺を散歩

図書館から借りてきた
村上春樹とイラストレーターの和田誠が選んだジャズの名曲が入っている
CDを聞いてみたりする
こんなCD、たとえ1円でも買いたくないけど
ちょっと興味はあるので借りてきちゃった
みんな昔のチャーミングな名曲ばかりですばらしいんだけど
4曲ほどで飽きてしまった
こCDに収められている曲は
彼の作品とは全然繋がらない気がするけど
繋がる必要もないのかもしれない
あるいは
ふかーいところで繋がっているのかも
でもライナーを読んでいると
ジャズへの
音楽への
愛は感じるな
音楽以外の表現形式は
すべて音楽への羨望と嫉妬がある
ああ、もっと音楽に嫉妬したいよお
(なんだよ、あのキングクリムゾンのくそ新譜は)

4月25日

不動産関係の契約を済ませて、ほっと一息
昼食は絶品の鯛茶漬けが食べられるという銀座のお店
夜は何万円もするコースがある高級なお店らしいのだが
鯛茶漬けはデザートなどいろいろついて1500円ととてもリーズナブル
今度グルメな母親を連れてこようかな
もちろん昼食だけど(笑)
ほんと味は絶品でした

4月26日

サルサバンドの歌手である友人が
朗読会を開くというので聞きに行く

人情小話
昔話
宇野千代のエッセイ
村上春樹の短編
などを
時には一人で
時には数人で寸劇のように朗読していく
言葉は声になるとずいぶんと自由で存在感がある
言霊というのかな
子供のとき、母親が寝る前に本を読んでくれたことを思い出だした
学生時代の国語の時間、やけに上手に朗読するクラスメイトにうっとりしていたり
読書好きの女性が電話越しに誰かの小説の自分の好きな部分を読んで聞かせてくれたり
朗読だけのラジオの放送局があればいいのにとか・・
友人はさすが歌手だけあって声量があり声がよく通る
朗読稽古集団「花楽響」
主催者は覚和歌子さんという詩人の方
「千と千尋」の主題歌の詩を書いた人らしい
あの曲の詩もとても素敵だったけれど
彼女が朗読したオリジナルの4本の詩はなかなか素敵だった
「オーロラ」というタイトルの詩の中のフレーズ
「愛しているんだから、仕方がない」
というのにしびれちゃったね(笑)

4月27日

きのうは友人と会った後
秋葉原で冷蔵庫を買おうと思っていたのだが
今はゴールデンウイークセールらしくて
激安の液晶モニターを見つけてしまい
ついそっちを買って帰ってきてしまった(とほほ)
おかげで机周りはずいぶんすっきりしたのだけどね
最近の液晶モニターはずいぶんコントラストがはっきり出るようになって観やすくなりました
そんなわけで今日は
近所のオリンピック(量販店)で冷蔵庫を買ったのでした
どうも引っ越してから
乗換えが秋葉原になることが多く
つい降りて余計なものを買ってしまいそうになるのだよね
危険

夜は仕事もせずに
泡盛を飲む
「りゅうたん」という沖縄の焼酎
龍の肝という意味だろうね
黒いお酒のラベルに龍の絵が描いてあってなかなかかっこいい

4月28日

静かな街
ゴールデンウイークなのか
選挙が終わったからなのか
街はやけに静か
名前を連呼するだけの低レベルな選挙活動はもういいかげんやめてほしい
といってもほかにやりようがない
実にワイパー的だ
ワイパー的というのは
自動車のワイパーってどんなに技術が進んでも
昔からずっと変わらないでしょ
あれってどうしようもないんだろうね
ブレードランナーの世界でも
車が半重力エンジンで空を飛んでもワイパーはあったものね
相変わらず目の前をうっとおしくいったりきたり
未来でも
空飛ぶ選挙カーがいったりきたりしているのかな

4月29日

電磁波の恐怖
地球の23倍の彗星の落下の恐怖
常識とは恐怖心の共有ということでもある
みんなが同じものを怖がっている間は、常識というものが社会の崩壊を防いでいるのだけれど
恐怖の種類が多様化するとそれも危うくなるのかな
と、クリストの梱包芸術のような白い森の光景を観て思う
もちろん
恐怖心が統一されていくことがいいことだなんて思わない
むしろ多様化していくほうが自然
社会が複雑化して
多様化していく恐怖心に僕らはどう対応していくのだろう
カルト教団の映像をテレビで見せられると
いつも呆然としてしまう
恐怖心の組織化の危険性
ただひとつ言えることは
僕は自分の中の恐怖心を
他人と共有しないよ
寂しいけどね

ハードボイルド調に決めたいけれど
それは無理(笑)

4月30日

かわゆい女の子が「動物のお医者さん」を貸してくれたので
仕事もひと段落したので
ちょっとづつ読む
登場人物が動物のように無垢なのがいい


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