かものはし日記

2003年12月号


12月2日

個性とは
寂しさの表現の仕方だと思います
どんな幸せな状況でも、やっぱり人は寂しいのです
人それぞれ
寂しさの表現の仕方がある
寂しさ故に犯罪を犯してしまう人もいれば
寂しさ故に人に優しくできる人もいる
寂しさ故に絵を描く人もいる
寂しさこそが、世界へアクセスするための唯一の感情
大事な感情です
僕はこの感情がいちばん好きです
どっちかというと
「淋しい」がいい
こっちの漢字の方がさわやかで開かれた感じがする

久しぶりに晴れましたね
(6日ぶり)
太陽の光が懐かしかった
思わず自転車に乗りながら両手を広げて充電してしまった
(おれはウルトラセブンか?)

テレビ局って他局の失態は
ものすごくうれしそうに報道するよね
エビの話なんてどんでもいいじゃん
もっと大事なことをちゃんと報道してほしい

12月3日

最近はパティ・スミスが気分に合う
というか30歳あたりを過ぎてからようやく良さがわかったというか
ピース アンド ノイズ
ゴーン アゲインも好き
シンプルな8ビートに切実な歌声
永遠とつづく荒野
前向きな絶望?
(絶望してても元気に生きる、そしてたまにへこむ)
音よりメープルソープの写真で初めて知った彼女
彼女の長い顔と細長い体型がとても好きだった
彼女の身体がそのまま楽器になったような歌声
見た目と表現が一致する希有な人

12月4日

ソダーバーグ版ソラリスをビデオで観る
美しい音楽と映像
ゆったりとした時間の流れに久々に映画を感じました
登場人物の感情の流れに
ゆっくりと共感できる快感
ああ、昔映画はこうだったよね
余韻が残る映画
ソラリスは自らの内面を移す鏡です
青臭いことを言っちゃうけれど
すべての芸術は自分の内面を見つめるためにあるはずです
映画館で座席に座っている間は
いやなことは忘れてジェットコースタームービーに
どっぷり浸かるというのも
もちろん楽しいけれど
映画を通して登場人物を通してじっくり自分と対峙するのも素敵なことだと思います
ソダーバーグ監督に人に対する愛情を
プロデューサーのキャメロンにサイエンスフィクションに対する愛を
感じました
特に音楽が素敵なんだよー
うっとり

東アジア大会中国戦
そうそう3バックで良いんだよ
センターフォワードが点を入れて勝つなんて久しぶりかも
日本は才能のある子は
皆中盤に行っちゃうらしいので
慢性的なストライカー不足
その中で久保がでてきたのはうれしいね
ちなみに関係ないけど
音楽の世界では
日本は慢性的なドラマー不足らしい
これは住宅事情かな

12月5日

雨ばかり
週末も雨
統計的に週末に雨が降ることが圧倒的に多いらしい
それは
都市化が進んで
月曜日に始まる人々の営みが塵を発生させ
それが週末あたりに過飽和状態になり
空気中の水分とくっついて雨になるらしい
人々の営みが天気を左右する

12月6日

12月7日

タイトルページのイラストを更新しました

「月に座り大地に触れる」

サッカー日本代表香港戦
大丈夫なんでしょうか
2006年

12月8日

前日の牡蠣鍋の残りの汁で
お昼は煮込みうどん

12月9日

夢と希望を持って生きるのは
ある人にとっては辛いかもしれません
それは世界でいちばん重い荷物に違いないから
そして
この世界で絶望していない人はあまりいないでしょう
だからみんな身軽なはずです
身軽なんだからもう少し動けるはずです
絶望ゆえの
フットワークの軽さと心の余裕というのもあるはずです
夢と希望が
どれほど世界を幸せにしたのでしょう
戦争は夢と希望の副作用です
何の望みのないところから
何かが生まれる
それが本当の想像力(生命力?)だと思いたい
(なんだかよくわからない文章でした)

ちょっとおなかが痛いのかもしれません

12月10日

何日か前
アマゾンの奥地になんとか族というドーナツ型の長屋に住んでいる人たちを
テレビで紹介していました
彼らはとてもフレンドリーで
そして愛情にあふれていました
長屋には家族同士を仕切る壁がありません
部族全体が一つの家族のようです
誰かの悲しみはみんなの悲しみ、誰かの喜びはみんなの喜び
彼らの言葉には「愛」という単語はないそうです
あって当然の概念は言葉として実体化する必要がないからでしょうか
何かが言葉として立ち上がっていくたびに
その何かの本質は失われていくのかもしれません
逆に愛がないから
愛という単語が立ち上がってくるのでしょうか
空疎な言葉が飛び交う今
「行動こそが祈りである」という言葉を信じたい
中東に行くと決まってしまったのならば
彼らの行動に期待したい
大儀がなくても個人の意志がある
日本人て
基本的にトップより末端の人たちの方が優秀だもの

ビデオで借りたソダーバーグ版ソラリス
何度でもみたいのでDVDとサントラを買ってしまった
こーゆう音楽とこーゆう話がたまらなく好きなんだよね
僕は。
ジョージ・クルーニーの吹き替えを
山寺宏一さんがやっているのも魅力
メイキングをみていたら
緻密な作品が持ち味のソダーバーグ監督は
さぞかし完璧主義者なのかと思ったら
撮影中にあらゆる人たちの意見を積極的に取り入れて
それを即興でまとめていくインプロヴァイザーなのでした
びっくり

ソラリスはSF映画ではありません
妻を誤解して記憶していた男の切ないラブストーリーです

12月11日

今日は
イラストレータのひろき真冬さんに誘われて
ドラマーとしてジャムセッションに参加
吉祥寺のまるで70年代のような雰囲気の練習スタジオ
ギターはほとんどプロ級の腕前のひろき真冬さん
ベースは元SFマガジン編集長の今岡清さん
サックスはイラストレータの藤原ヨウコウさん
マンドリンは作家の浅暮三文さん
写真撮影に紅一点イラストレーターの中川悠京(UK)さん
変則フリーロックバンドでありました
みなさん腕が達者なので初心者ドラマーの僕も
みなさんに引っ張ってもらって
気持ちよく8ビートの渦の中へ
自分で音を出してそれがみんなと絡んでいくというのはなんと素敵なことなのでしょう
普段一人で仕事をしているので
なおさらです
やっぱり来世はミュージシャンだね(笑)
普段
ローランドのVドラムというエレクトリックドラムで練習しているので
初めて体験した本物のドラムがあまりに大きくて手が届きませんでした(笑)
(スティックを素早く動かすにはドラムとドラムの距離がとおすぎるんだよね)
何度か練習したフィルインもうまくできなかったし
いろいろなセッティングに対応できないと
そのへんが今後の練習の課題かな

セッションを終えて帰宅したらソダーバーグ版ソラリスのサントラがポストに
映画音楽としてではなく独立したミニマルミュージックとして
なんの遜色もないすばらしいアルバムです
おすすめ

12月14日

クロッキー教室に行く
今回はやけにスタイルの良い肉感的な女性がモデルだったので
おじさんたちは大喜び(笑)
話しかけたり、お菓子をあげたり
良いんでしょうか、踊り子にそんなことして(笑)
(前回のモデルと待遇が違うじゃないか)
おじさんたちの話に耳を傾けていると
彼らはいろいろなクロッキー教室に顔を出しているようだ
あそこの教室はつぶれそうとか
情報交換に事欠かない
クロッキーおたくですね
なんか友達になれそうにはない方々

ダンサーの女性をクロッキーしながら思ったことは
重力の重要性
重力があるからこその浮遊感、躍動感
重力は呪縛ではなく可能性
そう
地球の生き物たちは地球に愛されているんだね
それが重力

12月15日

こーゆう生き物を飼う夢を見ました(笑)
(これだったら大家に見つかっても大丈夫とか、夢の中で思っている俺)
猫蛇?
(蛇の頭の方にはかじられました)
夢判断はいかに?

元妻と電話で世間話
夫婦げんかの数あるパターンの一つ
なんで君は思ったことをなんの考えもなしに
言葉にするんだ、と僕は元妻によく怒鳴っておりました
前頭葉というものがないのか!?、とね
(前頭葉というのは、物事を判断するところだから)
前頭葉のない元妻は
最近ソフトウエア的に前頭葉を構築しつつあると申しております
「ソフトウエア前頭葉」
(仮想的に頭の中に前頭葉を作る技術(笑)
彼女が言うにはまだベータ版らしいのですが
そのうちバージョン1.0がリリースされるとのこと
(ようするにいろいろ努力をしていると言うことですね)
僕はと言えば
それはがんばっているね、えらいねと言えば良いところを
「ソフトウエア前頭葉」なんて
ハードに依存しているわけだから
処理速度に限界があるんじゃないの?と反論したりして
いやみっぽいねー、おれ(笑)
この性格はデフォルト(初期設定)でしょう、きっと

12月16日

どこかのテロ宗教団体の教祖が捕まったときもそうだったけど
狭い穴蔵に隠れているのを見つかるなんて
かっこわるいったらありゃしない
きっと、何で俺はこんな目に遭うんだろうとか思っているんでしょう
無邪気だよね
客観的に世界と自分を見つめ
他者に迷惑をかけているという認識を持って
それでも悪意のある行動をとるのなら、そりゃあっぱれだし
そういう悪党はいさぎよいでしょう
かくれんぼなんてしたりしない
悪党になるのなら
人の痛みを理解し
自分の悪意ある行動に対して
死ぬまで悩み続ける
そういう覚悟がない人は悪党になってはいけません
ああ、真の悪党になるのは大変だ(笑)
いわゆる「なんの罪もない人たち」の一員である方が楽かな

12月17日

「まじめで、おとなしい人でした。」と
近所の人は証言するわけです
犯人はどういう人でしたか?という質問は愚問です
明るくて朗らかな人も
犯罪を犯す可能性があるし
日頃粗暴だからといって
犯罪を犯すとは限らない
どんな人間にも一線を越える素質がある
ニュース番組というのは
つねに安っぽいドラマを作り上げようとする
我々は物語を必要としているのではなく事実(素材)を必要としているのです
その素材から物語を作るのは
テレビではなく我々なのです

12月18日

前頭葉と言えば、ターミネータ3(笑)
ついビデオを借りて観てしまった
(つまんない映画)
たぶん前頭葉(理性)が機械を生み出したわけだから
この映画は前頭葉(機械)と感情(人間)の戦いです
前頭葉の発達が文明を生み出し、それが世界を破壊に導く
常に前頭葉は感情が嫌いなのでしょう
マトリックスもそうでした
(たいていのSF映画はみんなそう)
人類の未来は
前頭葉と感情の仲を取り持つ第三の器官を必要とするのか
それとも
感情が前頭葉を必要とせずにどんどん進化するか
どちらかというと後者のほうが楽しい(笑)
理性的であるより感情的である方がおもしろい
疲れるけどね

ということは
人間の身体は人間の感情の起伏に耐えられないから
前頭葉を開発したのかな
じゃあ、感情に耐えられるだけの(疲れない!)
身体をつくればいいということになる
自分の感情を軽やかに受け流すしなやかな身体
そういう進化でありたい

12月19日

最近は和風チャーハンに凝っています
ご飯とチャーシューと卵をいためた後
塩こしょうの代わりに
紙の袋の中に魚や昆布の破片がいっぱい入っていて
それをそのままお湯に入れるとだしがとれるやつがあるでしょ
それの袋を破いて
魚粉を全部入れて炒め合わせるととてもおいしいのです
かつおよりあご(トビウオ)のだし袋がおすすめ
食べ終わった後
口の中がちょっとちくちくするのがたまにきず(笑)
(魚の破片が口の中にささるんだろうね)

12月20日

今日はとても寒いです
冬らしくていいかんじだけど。
PCケース自体がCPUの巨大なヒートシンクというケースを見つけたので
ファンレス無音音楽サーバー製作計画のため
(パソコンのファンの音が気になってしょうがない)
自転車で秋葉原へパーツを物色しに行こうと思ったのですが
寒くて断念
ネットショッピングに切り替え(笑)
(根性がないね)

12月21日

すべての海を抱え込む

シンプル
世界は決してシンプルではありません
一見シンプルに見えても
その背景には多種多様な複雑さを抱え込んでいます
透明感とは
そういうふうに
シンプルだけどその背後の複雑さが透けて見えること
複雑さの海に立ち上がる一瞬の波頭
そういうビジョンは
何かを表現したいと思っている人たちにとっては
目指すべき価値があると思います

12月22日

「音楽は空の贈り物」

「ダンスは重力の贈り物」

12月23日

自然現象を音楽に置き換える
たとえば
夜空の星の座標を数値化し、それをある規則に従って音符に置き換えて
音楽を奏でてみる
風景をデジタル画像として数値化して音楽にする機械
たとえば
縄文杉をデジカメで撮ってその画像を
音楽に置き換えたら
どんな感じなんだろう
サンタさん
そういう機械をください

T-MODEL FORDというバンドの
ニッティングファクトリーでのライブ映像をネット配信で観る
熱いデルタブルース
かっこいいじじい
この人はなんと75歳でデビューしたらしい
すばらしいよね
夢をあきらめない
97歳デビューのピアニストというのもいる
人は必ずどこかで花が咲きます
何かを始めるのに遅すぎるということはありません
夢をあきらめてはいけません
だって
あきらめちゃうなら夢じゃないじゃん

12月24日

去年宮沢賢治の展覧会でお世話になった方から
りんごが届く
去年もいただいたのです
ありがとうございます
絶品のりんご
切るとあふれんばかりの蜜でほとんど透明な果肉
今年も毎日2個づつ食べよう
大家さんにも差し上げよう

12月25日

パソコンのパーツが届いたので
仮組をしてみる
どうもうまく動かないのでサポートセンターのおにいさんに質問の電話
おにいさんはマザーボードの初期不良はほとんどありえませんと豪語
いろいろためして
どのパーツが壊れているのかを探すのって
結構好き
結局ケーブルの接触不良

12月26日

昨日深夜帰宅後
作りかけのマシンを目の前にして寝るわけにはいかず
徹夜で
今日の昼までかかって
念願の無音(ファンレス)パソコンを立ち上げる
新品のパーツが動作不良だったり
メモリーをケチって動作が不安定だったりしたのですが
無事完成
フロッピー、光学ドライブなしのシンプルな構成
(音楽サーバーだからね。据え置き型iPodをめざしました。)
起動しても音がしないのはちょっと不安(笑)
夏になって室温が上がると動作が不安定になりそうでさらに不安
せっかく静かなパソコンを作ったのに
突然近所で工事が始まってうるさかったりする(笑)

火の用心の拍子木の音が聞こえます
木でできているのに金属のような透き通った音
冬の空気と合わさるとこういう音になるのかな
街は今日で仕事納め?
とても静かな夜

12月27日

朝起きたら、雪
早速散歩
冷たい風
体の表面は冷えきっていても体の芯は熱い
冬仕様の体になってきたかな

12月28日

友人の美人編集者に誘われて四谷のライブハウスへ
精緻な画風の漫画家?宮西計三さんの友人のロックバンドのライブ
ストーンズ系正統派ロックバンド
かっこよかった
初めてあこがれていた宮西さんにお会いして
ちょっと緊張してしまいました

最近は
ライブに誘われることが多くて
先週は東京ドームに超メジャーロックバンドを観させて頂く機会がありましたのさ
メジャーロックバンドのライブは宗教的な雰囲気がただよい
とても興味深い
教祖(ボーカル)と信者(CD購入者)
教祖がいうのだ
「おれに、東京ドームのおーをくれ!」と
すると信者たちは
「おー!」と叫ぶ
「もう一度くれ」
「おー!」
この掛け合いがいちばん好き(笑)
東京ドームのオー
このフレーズがしばらく耳から離れなかったね
しかし
さすがに客のほとんどが女性で
男性もちらほらいたけど
僕くらいの年齢の人はあまりいなくてちょっと恥ずかしかったのでした
だって
僕はこの場所では客というよりダフ屋に近い風貌なんだもん(笑)

12月29日

今日も誘われてライブハウス
六本木スイートベイジル
数年前僕のロック(最近はジャズ)教祖ビル・ブラッフォードを見に行った場所
今日はジャズシンガーの綾戸智絵です
CDはよく聞いていたのですが
ライブは初めて
もちろん音楽はすばらしいのですが
しゃべりもうまい
元気で愉快なおばはんでした
(自分の身の上をおもろく語る波瀾万丈人生ジャズというジャンルだと理解しております)
六本木スイートベイジルのオー!

12月30日

朝から大掃除
パソコンばらしてほこりをとったりする
メインは台所周り
換気扇とレンジがきれいになるとうれしいね
風水的にもいいんじゃない?(笑)
掃除って
やれば確実に綺麗になって
目に見える結果が出るのがいい
心が落ち着く(笑)
絵って、できあがっても良いんだか悪いんだか
釈然としない
それがたまにつらくなる
気持ちが落ち込んでいるときは
掃除がいちばんいいそうです
一年の心のお掃除も兼ねています

12月31日

数年前
とある過激な宗教団体がハルマゲトンを予言して
その予言を自分で実行しようとしてました
やったことはめちゃくちゃだけれど
コンセプトは正しいと思ったわけです
予言とは夢のことです
夢とは自分で予言してそれを実行に移す
この星に生まれて
心の底から楽しめる遊びを考えだし
それを実行する
自分の夢をひとりひとりが一生懸命考えて実行すれば
意外と世界は住みよくなるんじゃないのかな、と思うわけです
楽しむことに真剣じゃないんだよね
中途半端だから
世界は戦争が起きたり
ひどい事件がおきたりするんでしょうね
来年はもっと真剣に楽しみたいと思います
よいお年を


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