かものはし日記2004年9月号


9月1日

北軽井沢で優雅に仕事をしている後藤から
手作りパンが送られてきました
(偉いぞ、後藤)
軽井沢で有名な手作りパンだそうです

9月2日

傷口というものは
癒すものだと思っていましたが
実は
広げるものなのかもしれません
傷口は
治療せずに
どんどん広げる
血がどばどば流れる
それこそが生命力
そういう絵を描きたいと最近思ってます

9月3日

後藤が軽井沢を散歩していたら
彼の頭に火山弾があたる夢を見ました(笑)
すまんね

9月4日

さらに後藤から
軽井沢のコーヒーが来ました
オーナーが直接ブラジルまでいって
豆をオークションで競り落としてきたものらしく
くらくらするくらいおいしかった
(偉いぞ、後藤)
普段飲んでいるコーヒーは
これに比べると泥水(笑)

9月5日

火山灰をかぶったキャベツを
被災農家から直接仕入れて、「はーい(灰)キャベツです」というネーミングで売ったら
準備した1000個が完売したそうです
すばらしいアイデアですが、あたりまえといえばあたりまえ
食べ物ですから
灰くらい自宅で落とせばいいのです

9月6日

twins 波を海の底に沈めるように

9月7日

今年は金メダルと台風の当たり年
ちなみに
気象予報士は、みんなくるくる回るものが好きだという話を聞いて
ちょっとうっとり
台風とか竜巻とか
危険で美しい渦巻き
そういうものに魅せられて気象予報士になりたいと思うのでしょうね

9月8日

ドーピングに対する一提案
他人の尿を自分の膀胱に入れてまで
それほどまでして金がほしいアヌシュさんの気持ちはまあ1000歩譲って何となくわかる
でももし
ドーピングの検査が検尿ではなく検便だったら?(笑)
それでもあんたはやるのか
俺は死んでもイヤだ
検便だったらドーピングはなくなるでしょう、きっとね
だってもうこれは違う世界だ(笑)
下品ですまぬ
(でも検便じゃ、ドーピングの薬物は検出できないのかも)

9月9日

きのうはサッカーワールドカップ1次予選
インド戦
ハーフタイムにいきなり停電
嫌がらせでしょうか
事故でしょうか
完全に停電せずに一部の照明だけついているのは
ちょっと怪しい
嫌がらせか
でも緊急用のバックアップと言うことも考えられるか
インドのいい加減な国民性から考えると
事故っぽいかな
(フリーキックの時、インドのデフェンスの人壁が、小野が蹴った瞬間割れてたもん
よけるなよ(笑)
いい加減な気持ちで人壁を作っているところがいいね)
先日のアジアカップの中国戦といい
アウエイって楽しい
三都主のクロスを福西がキーパーを蹴散らしてゴール
にうっとり

9月10日

お墓参り
母親との昼食後
久々にディスクユニオンでCDを大量購入
展覧会用の絵を描くためのBGMさ
一番好きなドラマー芳垣安洋のリーダーアルバム 
Emegency(ハードコアジャズ)の2作目
Vincent atimicus(シカゴ派エキゾチック?ジャズ)の2作目
が新譜として出ていたので即購入
家に帰って即聞く
生々しくて繊細で荒々しくて上品で
やはり日本のジャズは世界一
これを聞きながら
生々しくて繊細で荒々しくて上品な絵が描きたい

9月11日

「光江」という名前の中華料理屋が近所にあります
古風な名前です
およそ中華料理屋の名前としてはふさわしくないのですが、ラーメン通の間では有名なお店らしいので
ちょっと行ってみたのです
今時珍しい何の変哲もないあまりにもシンプルな醤油ラーメン
そのシンプルさがすばらしい
ネットで光江の紹介記事を読むとスープはかなり複雑で丁寧に作られているそうです
複雑さはどんぶりの底に沈んでいて
シンプルさの上澄みだけをすする
そんな感じのラーメン
もし宮沢賢治が食べたら
きっと「透明な食べ物」に分類するでしょう(笑)

9月12日

戸川純バンドなるCDが出てます
しばらく彼女のお姿を見ることができませんでしたが
2年ほど前からちらちらと・・
そろそろ本格始動でしょうか
バックは日本のフリージャズ界の強者たち
ホッピー神山さんも参加してます
視聴コーナーで聞いてみました
ごりごりフリージャズロックに戸川さんのいかれた歌声
ヤプーズほどメジャーな音ではありませんが、相変わらず素敵
でも買うには至らず
というか、視聴しちゃうと買う気が失せるんだよね
多分聞かなきゃ、買ってたな
ヤプーズの曲で
自分をふった男が天使ガブリエルにみえるとかいう歌が好きでした。いかれてて(笑)
(タイトル忘れた)

9月13日

境界線管理者

9月14日

浅草で女の子とお昼ご飯
彼女に
ねえ、朝起きたら家の周りにゴミ袋が置いてありました
その数はいくつ?
と聞きました
これは数日前テレビでやっていた心理テストなのです
ゴミ袋の数は敵の数
ちなみに僕は一個でした
敵は一人と言うこと
毎日一人で自宅にいるんだから
敵は自分自身しかいねえよな、ということでしょうか(笑)
彼女は間髪入れずに
100個と答えました(絶句)
男は外に出ると7人の敵がいると言われていますが
なんだかんだ言っても世間はまだまだ男社会だし
女性の敵は女性とも言われているし
女性の方が敵の数はずっと多いのかも

9月15日

昨日敵が100人いる女の子が
村上春樹の新刊「アフターダーク」を貸してくれたので
ぺらぺらめくっていたら、あっという間に読み終わってしまいました
読んでいて、デヴィットリンチの映画を思いました
特に小道具としての携帯電話の使い方はまさしくそんな感じ
闇に誘われ
闇に追われ
闇に抱かれ
闇に癒される
空を見上げて宇宙を思えばわかるように
世界はほとんど闇で出来ているのです
太陽の光など宇宙の闇に比べれば
電源を入れっぱなしのパソコンの発光ダイオードみたいなものです
夜、部屋の電気を消して読むことをお勧めします
(読めるか!)

9月16日

before and after dark

9月17日

机の横にもう一つ小さい机を設置
少しでも机周りを広く使いやすいようにと買ったのだけれど
結局気がつくと
CDやら
本やら
コーヒーカップやら
なにやらで
机上エントロピーに変化なし
雑然さが拡大しただけ

ちっとも進行しない恋愛話

9月18日

久々にハンバーグを頂く
ほんとに久しぶり
料理というのは
同じ材料と同じ作り方でも作る人によって違うものができます
(なんでもそうですが)
気合いとタイミングが大事
(なんでもそうですが)
今日の作り手は
上品で控えめな人かな
ちょっと頑固かもね

9月19日

朝、今から軽井沢に来ない?と後藤のうちの大家さんに誘われて
画材道具を持って軽井沢へ
火山灰でなんとなく白っぽい軽井沢駅
風向きのせいか場所によって降灰はまちまち
別荘のある北軽井沢はほとんど影響ないようでした
1週間前からここで優雅に絵を描いている後藤の仕事をちょっと手伝う
久々の合作?で楽しかった
仕事の後は
左右に青い畑が広がる永遠に続く白い道路を自転車で疾走
ここって、死んだら行く場所?っていうくらい気持ちがいい
(行きは天国、帰りの登りは空気も薄いせいかものすごくつらい)
夜は徒歩で浅間山が見えるところまで散歩
夜の浅間山は、噴火口がうっすらと赤く輝いている
夜の軽井沢の空気はとても冷たいのだけれど
それほど寒さを感じないのを不思議に思っていたら
なんと地面がじんわり暖かい
日本の大地は熱い!
その上に住む人たちも熱くならねば

9月20日

 早朝、車で草津温泉
無料で入湯出来る場所がたくさんあります
大家さんに腎臓が相当弱っていると指摘され、腎臓を暖めるつもりで
半身浴でじっくりとつかる
午後は
サッカーボールがあったので
散歩しながら後藤とサッカー
ぜいぜいいいながら走る走る走る
今サッカーをするとしても
前半5分、休憩30分、後半5分、延長なしだな
そして全員東京へ帰るために大掃除
(多分このために呼ばれたのかもしれない)
別荘というのはなかなか素敵だけれど
掃除が大変なのです
毎日住んでいないので、こまめに掃除をしていかないとすぐにかびくさくなるそうです
そして帰宅
この2日間、空気の薄い場所でかなり体を使いました
高地トレーニングは今後の仕事に生かされるでしょう(笑)

9月21日

となりのエアコンが古いせいかものすごく音がうるさくて気になってしまうので
BOSEのノイズキャンセリングヘッドフォンを買ってみました
スイッチを入れると
見事に低周波音がカットされ
外の車や隣の室外機、パソコンのファンの音も
ほとんど消えてしまう
ノイズキャンセリングヘッドフォン特有の圧迫感もそれほどなく
まあまあいいかも
でも値段の割にはいまひとつ

腹巻きを買いました
(じじくさい(笑)
弱って、冷えている腎臓を暖めるのです
半身浴もはじめました

9月22日

確かに腎臓を暖めて
腎臓が元気になると
朝目覚めても、死にたい気分にはならなくなりました(笑)
(オーシャンズ11で、マットデイモンがブラピに向かって、おまえ自殺したいのか?と言う問いかけに
自殺したいと思うのは朝だけだ、という台詞があって
妙に共感しましたが、彼も腎臓弱っているのね)
落ち込んだ気持ちを精神力だけで
切り替えるのはとても難しいものです
たいていは体のどこかが弱っていて
そこを元気にすれば
精神的にも元気になるようです
人の体はそのくらいすばらしい

軽井沢のねーさんには
腎臓が弱っていると指摘されただけではなく
胸を触られて
あなたは、まだハートのチャクラが開いていないのね
と指摘されました
(以前にも整体をしてもらった)
ハートのチャクラが開いていないのは
心が開けていないということでしょうか
どうすれば開くのかな
誰か開けて(笑)

誘われてコンサート
ブラジルのなんとかという方のチェロがものすごく素敵でうっとり
笑顔も素敵なおじいさんで
音楽に関わっている人ってみんな素敵に年齢を重ねていくよね

9月23日

なかなかよかった押井監督のイノセンス
ブレードランナーなおやじくさいハードボイルドがつぼにはまりました
ホラー的に解釈すると
死んだ女の地縛霊とおじさんのラブストーリーと言うところでしょうか(笑)
量子物理と哲学がセットで扱われるように
ハイテクと神秘主義もセットです
どんなにネットで世界をつなげても
人の形をした機械を作ってみても
結局人の孤独は癒えないようです
本当に孤独は癒すものなのか
自我というものの境界線の解釈より僕はそっちのほうが気になります
寂しがっているのは、魂の周りをとりまく心だけかもしれません
荒ぶる孤独こそ魂の正体なのでは?
そんな気がします

9月24日

自分を誰かに理解させようとするのに必要なのは
せいぜい表現力程度ですが
他者を、世界を、理解しようとすれば
それに必要なのは、限りない圧倒的な想像力です
そこに自我は介在せず
あるのはただ他者や世界への暖かな関心のみなのです
すぐれた作家や音楽家、映画監督、絵描きは自分を表現しようとしているわけではなく
世界を愛し受け入れ理解しようとしているのです
そのために必死で想像力を絞り出している
僕が好きな作品はみんなそうだし
自分もそうありたいと思っています

9月25日

風の内臓

9月26日

「今時巨人の野球帽をかぶった子供なんていない
テレビ中継で映されている観客席は
10年前のはめ込み画像だ」
さすが長井秀和

9月27日

イチローのバッティングフォームは
ボールをどかんとはじき返すのではなく、ボールの流れを変えているだけ
繊細でとても美しい
アメリカのパワーを繊細さで凌駕するのを観ているのはとても小気味がいい
小さくて繊細で高性能
まるでソニーの製品みたいだけれど
日本て、結局そういう国なんだよなー
世界を繊細にふれる流れるような感受性の国
どのジャンルにも言えると思います
だからごり押し中心の政治のようなジャンルには向かないのです
内閣改造をみても
政治に適する人材なんていないもの

9月28日

スライスしたトマトを豚肉のロースの薄切りで包み
塩コショウをして小麦粉・卵・パン粉を付けて
油で揚げる
トマト包みトンカツ
トマトは熱を通すと甘みが増すので
とても美味です
テレビでトマト農家の奥さんが作っていた料理を観て、試してみました
お勧めです

9月29日

昨日の続き
トマトとトマトの間にチーズを挟んでフライにするというのもあって
今日挑戦してみたのですが
こっちはなかなか難しい

9月30日

たけしがテレビで日本の技術と技術者たちを紹介している番組が面白かった
日本の技術の高さにも驚きましたが
波動砲やガンダムのビームサーベルを本気で作ろうとしている人がいて
そのいかれ具合にも驚きました
僕が生きている間にガンダムのようなロボットは出来そうですね
変形ロボットは難しいかな
ゲッターロボに至ってはナノテクなので
当分無理か(笑)
第2次世界大戦の時、戦地に出向いて死んでいった人たちは
ほとんどが文系で
理系ばかりが生き残り
その技術力で戦後の日本の復活が成し遂げられたと言う説があるますが
そうかもしれませんね
ただ子供のように無邪気で理念のないテクノロジーは危険です
予備校時代
共通一次があるために国語の授業を受けていたのですが
その時僕ら理系志望の学生に
愛のない技術者になってはいけないよ、と熱く語る国語の先生がいて
とても印象に残っています


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