かものはし日記
2005年1月号


1月1日

あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします

サルサのカウントダウンライブで新年が開け
友人と朝まで渋谷で飲む
(こーゆう新年の迎え方ははじめてかな)
その後実家に帰って、新年のごちそうを食べ就寝
午後、のそのそ起きてきて
居間で母親とヘップバーンのマイフェアレディを観る
そういえば母も映画好きでしたね
ルキノ・ヴィスコンティの「山猫」という映画で話が盛り上がる

あんな素敵な映画、今じゃ撮れないわ

というのが、母の結論でした

1月2日

駅伝を観ながら
マラソンをしているときにうんこをしたくなったらどうすればいいのか、という
話で盛り上がる
(すいませんね、新年早々)
母は給水所にカレーのルーを置いておいて・・・
最終的には
ストッパ下痢止めを飲めばいいのさ
という現実的な意見で話がまとまる
(俺の意見)
皆さんも電車の中で何度か人間をやめそうな目にあったことがあると思いますが
ストッパ下痢止めはすばらしい薬です
すぐに効きます
僕はいつも右のポッケに入っています(笑)
おすすめ

夕方、帰還

1月3日

誘われて新春クラシックコンサート

渋谷オーチャードホール
クラシックのコンサートなんて、生まれて初めてだし
いつも穴蔵みたいな場所で爆音ジャズを聴いている僕としては
思わず待ち合わせ前、連れに
ねえ、ちゃんとした服を着て行かなきゃだめなのかな?
と電話をしてしまいました(笑)
(まあちゃんとした服なんて冠婚葬祭用の礼服以外持っていないのですが)
いつものカーゴパンツはやめてスラックス
今はこれが精一杯
新春にふさわしくヨハン・シュトラウスの曲がメイン
生で聞くクラシック音楽は
うちのミニコンポで聞くCDとは違い
各パートがちゃんと別々に(バラバラじゃないよ)聞こえてくるので
楽曲の構造がちゃんと目の前に見えてくる

「美しき青きドナウ」の完璧な形式美

音楽という建物の中にいるような
それがとてもうれしかった
音楽は何でもライブですね

1月4日

「良い天気ですねえ」
この星の気候が変わらず毎日一緒だったら
この言葉は存在しません
この言葉が存在しないと
知らない人と話をするきっかけがつかめません

大事な言葉です

下町の人たちは何かきっかけを見つけては
僕に話しかけてくれます
今日はコンビニのおねえさんや八百屋のおばちゃんなどなど
日頃お世話になっている方が
皆さん向こうから
新年の挨拶をしてくださいます
これ、すべて
「良い天気ですねえ」
のおかげなのです

1月5日

半身浴をしながらちょっとずつ読んでいた
ポール・オースターのエッセイ集トゥルー・ストーリーズを読み終える
彼の優しさがよく伝わってくるエッセイで
ますます彼が好きになってしまった
今いちばん好きな作家は?と聞かれれば
間違いなくオースターと答えるでしょう

振り付け師モーリス・ベジャールのドキュメンタリー映画
「リュミエール」
ロバート・アルトマンのモダンバレエ映画
「バレエ・カンパニー」
とバレエづくし
ベジャールはボレロの振り付け師として有名な人
私はクリエイターではなくオーガナイザーであるという台詞が印象的
アルトマンの編集って
けっこう素っ気ない切り方をしますね
流れをブチって切っちゃう
でもその素っ気ない切り方が作品にリズムを生み出す
さすがです
後半あたりに
デヴィット・リンチのツインピークスの歌姫ジュリークルーズの浮遊感あふれる曲をバックに
ワイヤーで地上50センチくらいのところにつるされたダンサーが
地面に足をつけては踊り
地面から離れては廻る様は
絶品です

1月6日

暴走する寂しさ
少女を殺してしまった犯人の写真のものすごく寂しそうな表情
人の根元的な寂しさというものに向き合おうとせず
システムだけをいじって
社会を見てくれだけ安定に保とうとする風潮の方が腹が立ちます
テレビでは
犯罪者の不幸な生い立ちが紹介され
寂しいからって人を殺していいわけじゃないんだ
ちゃんと生きている人だっているんだから
それができない奴らは法律で取り締まれば良いんだ、的な論法
加害者より被害者の人権を守れ
正論です
間違いなく正しいのです
でも
新たなシステム
新たな法律
新しい管理
新しいシステムを一つ作り出すことは
人間性の一つの敗北です
六法全書の厚さは人が放棄した感情です

僕の心の中にも
いくつかの未解決の憎悪が潜んでいます
その憎悪の出所はすべて寂しさです

解決された憎悪もあります
そのいくつかは身近な人の些細な優しさで解決されたことを覚えています

作家のポールオースターが素敵な提案をしています
なるべく知らない人に声をかける
誰かと目があったら、笑顔を返す
小泉さんを筆頭に
国ぐるみでこーゆうような全国キャンペーンをしたほうが
よっぽど犯罪は減るような気がします

朝、少女を誘拐して殺そうと思っている人に
誰かが
笑顔で挨拶をしたら
その行為をやめるかもしれない

小説ならあり得ないでしょう
でも現実になら起こりうるって気がしません?

1月7日

戦争反対っていうより平和賛成って言った方が
言霊的には伝わりやすいと
どこかに書いてありました
戦争反対ってある意味2重否定だもんね
ややこしい

1月8日

スピリチュアルカウンセラー江原啓之さんの話によると
人は夜寝ていると
魂は幽体離脱をして
どこかに集まっているそうです
なんか、のら猫の集会みたいでいいなー
霊体のメンテナンスをしてくれるそうです

1月13日

倉本聰脚本の新ドラマ「優しい時間」を観る

誰しも一日の中でなんとなく優しくなれる時間帯がありますよね
すべての寂しさを受け入れられる瞬間でもあります
その時に
恨んでいる奴を許す
酷いことをした人に謝る
ことにしてます
ま、その時間が終わるとまた腹が立ったりしちゃうんですが(笑)

1月15日

近所のお総菜屋さんにおばあちゃんがいて
それが僕の祖母によく似ていて
たまに思い出したように会いに行きます
亡くなった人を思い出す瞬間って
その人が僕にアクセスしにきた瞬間なのでしょう
そう思うことにしてます

1月16日

張りつめた翼

友人から聞いてびっくり
ディープインパクト
NASAが彗星探査衛星を打ち上げたらしいのですが
なにやら彗星に弾を撃ち込んで
できあがったクレーターから彗星の構造を調べるそうです
いいんですか、そんなことして
子供の頃観たウルトラセブンで
生命がいないとされる星に地球人が核ミサイルを実験のために撃ち込んだら
実はそこには生物がいて
その宇宙生物に仕返しされるという話がありました
科学というのは
秘密の扉を開けるのに
鍵を使わず爆薬を使って扉をこじ開ける手法が未だにとられているのですね
彗星は綺麗ならそれで良いじゃないですか
太陽系の成り立ちとかがわかるそうですが
そんなこと知らなくても困らない
それより
自分の女房が何を考えているのかを真剣に探査した方が
いいぞ(笑)

1月17日

昨日のつづき

スタートレックは大好きだし
宇宙の謎を解明したいと思うロマンも進取の気性も十分理解できるのだけど
やっぱりやり方だよね
観察するという行為は
たとえそれがどんなに些細な行為でも対象に何らかの影響を与えてしまうのだけど
もうちょっとエレガントな方法はないの?

ライブハウスというのは基本的に2セットあって
休憩時間が30分ほどあります
一人で行くとひまなので、ついPDAを引っ張り出してお絵かきします
暗い?(そうでしょうとも)
女性のお客さんを描くのが好き
去年から描きためてあったのを思い出して
ちょっとよさげなのを貼ってみました

1月21日

今日は後藤の誕生日
朝、電話で、「おめでとう」と嫌みをいう(笑)
お互いけっこういい歳になりましたが
渋いおやじになりたいよね〜

テレビで
夜回り先生で有名な水谷先生のドキュメンタリーを観ました
薬物中毒の子供たちのささえになり続けて13年
子供たちの寂しさを受け入れ続けてきました

彼のあふれんばかりの優しさはどこから来るのでしょう

灯台の光のような人です

この人を観ていると非二元の哲学を思い出します
この世界は一者だけが、リアルである
一者とは
愛と呼ばれたり
光だったり
空だったり
スピリットだったり
各体系によって呼び方が違います
本来は
人は光である
彼はそれを実践している人

素敵な表情
優しくて落ち着いた低い声

子供たちに決してネガティブな言葉を使わない

どんな状況でも自分を見失わず常に自分を客観視している

人の気持ちを考えすぎず、勝手な妄想をせず
今をきっちり見据える

常に今をみつめ、自分の出来ることをする
ベストを尽くす

こーゆう人をインディアンのシャーマニズムの世界では
「戦士」と呼びます
実践こそが祈りであり
たとえ外界で何が起きようが
内面は光り輝いている
それが本来の人の姿なのでしょうね

1月22日

子供の頃から教わってきたことは
基本的には
他人の注意を引きつけるための技だけです
この技を体得すれば
寂しくないし
それなりの幸せが待っているよ、と脅されました
親などに直接的に虐待されなくても
そうやって
生まれたときから毎日少しずつ社会に虐待されているのです
商品価値のないものは、他人の注意を引きつけられないので無意味っていうのが、この社会の虐待原理。
子供たちも傷ついているのだけど
大人たちはもっと傷ついている
むしろ
大人の方が深刻かもね
集合的虐待(犠牲者世界)といってもいいくらいの
僕らの世界で
客観的に自分をみつめ、自分を再び獲得するには
どうすればいいのでしょう

今日の入谷なってるハウスは大盛況
渋さチビ-ズ / 立花秀輝sax.小森慶子sax.スガダイローpf.不破大輔b.大沼志朗ds
空いている座席がなくて立っていたら
二十歳くらいの若者に席を譲られてしまいました
え、おれはもうそんな歳?
頭が薄いのを坊主刈りでごまかしているのと
鼻毛に若干白いものがまじっているだけなのに?
この席だとピアノの演奏が見づらいそうなので
譲ってくれたようです
ちょっと一安心(笑)

今日の演奏はすばらしかった
完璧フリージャズ
大沼さんのドラムスティックがリムショットの瞬間
折れて宙に舞いました
ああ、うっとり

1月23日

花粉症の季節ですね
つらい季節です
人は、心と体がつながっていますから
精神状態がそのまま体に伝わるわけです
病気は結果であって
原因は心の状態にあるということ
花粉症は、免疫システムの過剰反応でしょ
それは僕が
世界を拒絶して
ちゃんと世界に心を開いていないという証拠なのでは
と密かに思っています
かつて、友人のイラストレーターさんの美人妻に
かとーさんは決して内面を見せないのよね
と言われ
整体の心得がある美人妻には
あなたはまだハートのチャクラが開いていないのね
と言われます
感受性の鋭い美人妻にはいつも正体を見破られてしまいます(笑)
美人妻、恐るべし
絵を描くという行為が
少しでもハートのチャクラを開くきっかけになればと
祈るばかりだよ
(無理?)

花粉症が治らないと
人として一皮むけないよな〜

つり上げたカジキマグロが
船の上で暴れるので
抱きしめておさえつける
という白昼夢?を体験しました(笑)

フレッド・アンダーソン(サックス)とハミッド・ドレイク(ドラム)のデュオ
back together again
ようやく入手できました
ジャンル的にはシカゴ・アンダーグラウンド・ジャズということかな
フレッド・アンダーソンは80歳を過ぎているそうです
すごいじじい
コルトレーンとラシッド・アリの有名なドラムとサックスのデュオアルバム
インターステラー・スペース(超愛聴盤)が
宇宙のうねりなら
こちらは大地のうねり
CDROM付きで
クイックタイムでライブ映像が観られます
お得

1月24日

無花粉杉という品種の開発に成功
僕は酷い花粉症ですが
なにもここまでしなくてもいいような気がします
別に杉は悪くないのです
原因のねつ造です
本当の原因はもっと別のところにあります
文明というのは
常に原因をねつ造しながら
進歩します
俺を産んだあんたが悪い
と母親に言ったことがない人はほとんどいないと思います
このあたりが原因のねつ造の始まりだろうなー(笑)

1月25日

「エレファント」
ガス・ヴァン・サント監督
米コロンバイン高校の銃乱射事件を題材にした
80分ほどの映画です
誰が主人公というわけでもなく
淡々と高校生の日常が描かれています
なぜ加害者が銃を乱射したのかという理由も具体的に描かれていません
美しい映像と心地よいクラシック音楽 のBGM
理由もメッセージも一切描かれていないんだけど
これを観た人は、その理由がわかっちゃう
観た人それぞれの理由として
自分の心を映す鏡のような不思議な映画です
ストーリーの枠だけ決めて、後は登場人物に即興で演じさせるという斬新な手法が
とても効果的でした

自分を救えるのは自分しかいません
どんな過酷な状況でも
世界に巻き込まれてはいけないのです
僕はそう思いました


これから大量殺戮をしようとしている少年が、大量の銃器を持って校舎の中に入っていくとき
すれ違った友人には
おまえは、中にはいるな、地獄をみるぞ
と言った台詞が印象的でした

傑作かな?、うん傑作だよ

1月26日

お昼は
和風だし醤油ラーメン
頂き物
しなちくのかわりに
きんぴらゴボウを作って入れてみました
お勧めですよ

夜は
冷蔵庫野菜在庫一斉処分餃子
あらゆる野菜をいれて見ました
白菜だけとかキャベツだけというより
味がなんだか複雑な感じで美味

1月27日

余った餃子のあんは椎茸の上に載せて
網焼き
これも美味
今日の朝食は豪華でした

1月28日

誕生日のメールありがとうございました
とてもうれしいです
今日は、映画「エレファント」つながりで
同じ映画監督の「グッドウイルハンティング」を観ました
いい映画です
主人公の少年が心を開いていくプロセスをもう少し
丁寧に時間をかけてくれたらもっとよかったかも
映画はむずかしいな

世界に心を開かなくてはいけないけれど
でも世界に巻き込まれてはいけない
綱渡りのような芸当です

どんな目にあっても
どんなことをされても
被害者として生きたくはないのです
自分をかわいそうだなんてこれっぽっちも思いたくはない
戦士として生きたいのです
もちろん戦士とは
他者と戦う人を指すのではなく
自分の被害者意識、自己憐憫と戦う人のことを言います
(正月と誕生日には、いつもこれを誓うのだけど
なかなかむずかしいんだ、これが(笑)


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