かものはし日記 2005年11月号


11月1日

kate bush 12年ぶりの新譜aerialが出ました
(発売日が予定より早まったようです)
ちょっと感動
優しい感じのアルバムです
だからといって
安っぽいヒーリング音楽ではありません
心のダークサイドを愛撫してくれるのは、いつものとおり
(後半にかけて徐々に持ち前の狂気(生命力)がきいてきます)

お母さんになったのですね
なるほど
とてもチャーミング

そういえば
mike oldfieldの新譜light-shadeも出ていました
彼の音楽は
やや感傷的なのと
最近あまり感心しないアルバムを出し続けていたので
ちょっと敬遠していたのですが
これは、なかなか良いアルバムです
ヒーリング系ですが
kateと同様、心のダークサイドに光を照らす力があります
ダークサイドとは
一般的に言われている邪悪な心というわけではなく
まだ解放されていない寂しさっていう感じかな
お勧め
これを聞きながら眠ると
よく眠れます

11月2日

大事な音楽ファイルがいっぱい入っている
LINUXファイルサーバーの背面ファンの軸が
長時間連続使用のせいなのでしょうね(1年半)、ぶれて異音を発するようになったので
交換
秋葉原でよさげなファンを物色して
帰宅後交換して問題解決
うむ
こーゆうことがあるから自作は楽しい

The Orb/Okie Dokie It's The Orb On Kompakt Disco
the orbの新譜が出ました
(今年は大物の新譜ラッシュと言われておりますが、そのとおり)
いつもながら飽きさせない8ビートは仕事をしながら聞くのにぴったり
今日はちょっとはかどりました(笑)

11月3日

klaus schulze/moonlake

ドイツ・エレクトロニクスロックの大御所
クラウス・シュルツの新譜も出ました
土俗的なビートに、ミニムーグでの即興演奏
重病という噂を聞いたのですが
元気そうで良かったです

恐れの底に優しくて穏やかな悲しみがある
そういう音楽が好きです
それは
音楽に限らず、どんな作品も
もちろんそういう人も

11月6日

グループ展5歩展、無事終わりました
作品の展示ばかりでなく
アコーディオンの演奏、ダンスパフォーマンス、朗読など
いろいろと楽しめて
いろんな人と出会えて
とても楽しかった3日間でした
参加者の皆様、来てくださった皆様、ありがとうございました
僕の基本的なテーマである、寂しさについて
けっこう共感してくださる方が多くて
とてもうれしく思います
勇気づけられました

5歩展の主催者でもある版画家の大野隆司さんと
展覧会場のまんなかあたりの椅子にどかっと座って
「心を開く」っていうのは
具体的にはどういうことなのでしょうかね〜
という話で盛り上がりました
大野さんは仏教大学を卒業されているので
興味深い話をたくさん聞けました
ひょっとすると来年の6歩展のテーマは「ひらく」になるかもしれません

11月7日

ちょっと体調が悪くて、元気がなかったのですが
たまたま紙全体をほぼ真っ赤に塗る絵を描いていたら
どんどん元気になってきました
カラーセラピーってほんとに成立するんだな〜
って、感心
でもただ色を見ているだけではなくて
能動的に自分で色を塗りつけていく方が
さらに効果があるような気がします

11月8日

タンジェリンドリームの新譜三枚
シンセを中心としたエレクトロニクス・ロック
80年代の後半から中心メンバーであるエドガーフローゼの息子が参加し始め
そのあたりからnew ageぽくなって、しばらく離れていたのですが
最近ネットでライブ音源を入手し、それがやけによかったので
ちょっと聞いてみる気になりました

Jeanne d’Arc

ジャンヌダルクをテーマにした作品なのかな
なかなかいい

Rocking Mars

new ageぽいサウンドです
最近ベッドの本棚に小さいスピーカを設置して
夜寝ながら聞いているのですが
これは、よく眠れます

kyoto

日本だけで発売するはずだったお蔵入りの音源
80年代のまだとんがっているときの
ヨハネス・シューメリングがいた頃のタンジェリンはほんとにかっこいい

ジャケットはほんとにひどい(泣)

11月9日

gang of four/return the gift

進化生物学者のスティーブン・J・グールドは
人類の進化の過程を

「初期の異質性の爆発と後期の標準化」

と言ったそうです
初期における多くの表現形態が、進化の過程で淘汰され
同質化、標準化と向かう
それは洗練でもあるけれど
「衰弱」でもある

これは、ある雑誌でgang of fourの音楽レビューに載っていた文章を多少要約したものです

これを読んで、ちょっとドキッとしちゃった

筆者は、これを老け込み具合がすさまじいロックミュージックについての
現状として語っているのだけれど
音楽のみならずあらゆる分野で、模倣と縮小再生産、体系化、秩序化という閉塞状況は進行中です

人は皆異質な存在です
そう簡単には解りあえない
共感という人間関係も大切ですけれど
自分の中の異質さと
他者の異質さをおもしろがる(認め合う)という人間関係は
もっと大切だと思います

寂しさを紛らわせるために安易な共感の海の中で
ぬるぬると溶けて消えていくより
寂しさの中で
異質性と向き合う

誰かと一緒にいると寂しい
一人でいると寂しい

他者と解りあえない寂しさと自分の異質性をもてあましちゃう寂しさ
この二つを僕はとても大切に思っています

「異質性の爆発」

うっとりする言葉ですね

gang of fourは
いわゆるポストパンクと言われているそうです
(ポストなんとかっていう言い方は嫌いですけど)
return the giftは
初期(70年代後半)の名曲のセルフカバーとリミックス
水晶が爆発したような
ものすごく硬質な音楽
異質性の爆発をしたい人はお勧め

11月10日

ニューヨークを中心に活動している
サックス奏者ジョン・ゾーンが設立したレーベル
TZADIK(ツァディック)

このレーベルの設立は多分10年くらい前で
ぽつぽつとめぼしいものを買いながら聞いていたのですが
先々月あたりに、このレーベルのアルバムを一気に150枚ほど入手したので
少しずつ丁寧に聴いているのです
(CDは一度に手に入れると聴き方が適当になっちゃう)
このレーベルは
フリージャズ、アヴァンギャルド、現代音楽など
いわゆる「異質性の爆発」的音楽を集めたものです

さすがに毎日「異質性の爆発」は
つかれちゃうのですが
(ほとんど音楽になっていないものもあるしね)
なかにはうっとりするような異質性があって
やめられない(笑)

おすすめは
デヴィット・シルビアンのアルバム、ブレミッシュで
ボーカルの背後で奇怪なギターをかき鳴らしていた
derek baileyのリーダーアルバム
miracle
リズムセクションがプライムタイムのベースとドラムなので
そりゃ、どんな変態なギターでも
かっこいいさ

このレーベルのアルバムを全部聴くのが
当面の夢
(いったい何枚くらいあるんだろう)

11月11日

また一歩冬に近づいたような寒い日でしたが
僕的にはこのくらいがちょうどいい
寒くてちょっと曇っている方が
心の中は静けさを保っているようです

朝HDの中から今日聴きたい音楽ファイルをピックアップして
音楽を聴きながら
お絵かき
友人と電話
仕事で外出
その後ちょっと散歩して
ついでに食材の買い出し
そしてシエスタ(笑)
そしてまた友人と電話
お絵描き
音楽ファイルの整理
(これをしているときがいちばん幸せかも)

なんかリズムの良い日でした

11月12日

プロデューサーと脚本家が変わって、何かと不評の仮面ライダー響鬼ですが
ちょこちょこと良いシーンもあるし
やっぱり見守っていきたいと、友人と長電話(笑)

マカモー(敵の妖怪)を浄化させるための音撃が効かなくなりはじめ
今後の展開が楽しみなのですが
響鬼がドラゴンボールみたいにどんどん強くなっていくのではなく

自分の中の強さが、マカモーの浄化を妨げているみたいな

、そういう展開になってくれるといいな〜って思っています

かつて、ロバート・フリップが
let the power fallというソロアルバムで

21世紀は小規模で能動的なシステムが有効に機能する

力を増すのではなく
力を落とすことが大切だ

と言うことが書かれてあって
20代前半の僕はそれにとても感銘をうけたのだけれど

ふたを開けてみれば
僕より若い世代がぼこぼこ会社を乗っ取ってでかくしてたりして
お前ら、ちゃんとロックを聴いてこなかっただろ!って
言いたくなっちゃう

力を落とすことが、流れをよくする事もあるはずです
もうほんと響鬼だけが心の支え(笑)

たのむよ

11月13日

人は
自分の身体という60兆の細胞が織りなす森の中で
心を静かにして
森の声を聴き
森のリズムにシンクロして
一人で悩み
一人で決めなくてはいけないことがたくさんあるはず
悩みは自分のもの
悩みは個性です
おいそれと他者と共有して、安心してはいけない
悩みは大切なものです

11月14日

悩みと傷は大切な財産ですから
安易に癒されてなるものか!
っていう
感じでしょうか(笑)
安易に癒されるモノがちまたであふれていますから
気をつけましょう

11月17日

nine horses/snow bourne sorrow

どうも最近朝から気分が優れない
多分
毎朝 デヴィッド・シルビアンの新譜
nine horses/snow bourne sorrow
を聴いているからに違いない(笑)
(nine horsesはバンド名)

ずっと聴いていると気持ちのどこかが
重力に惹かれて落ちていくのがわかる
あの彼独特の陰気な歌声が原因なんだけど
でも音はさすがに先鋭的でかっこいいんだよね〜

それは実は冗談で
本当の理由は

ストレッチをしばらくさぼっていたから

所詮、人は動物です
動くモノですから
体を動かさないと元気にならない
体を動かさないと
どんどん元気がなくなってくるのは不思議ですね
案の定
昨日からストレッチをはじめたら今日はシルビアンを聴いていても
全然元気(笑)

寒いからと言って、体を動かすことをさぼってはいかんね

11月18日

最近ほとんどCD紹介日記になってますが
今日は掘り出し物

Yanisei Punk

Dalai Beldiri

Aldyn Dashka

Tuba.Rock

モンゴルのトゥバ共和国のロックバンド
トゥバ共和国と言えば、ホーミー大会が毎年開かれるくらい
ホーミーで有名です
(ホーミーとは、モンゴル独特の歌唱法で同時に二つの音を発生します
最近では、ユニクロのコマーシャルでやっていましたね)
基本的には
ワールドミュージックです
ホーミーや馬頭琴や口琴などモンゴルの伝統音楽がベースに
エレキギターがまったり絡みます
なぜかリズムは、アフリカのシャーマニックなドラミングだったりして
けっこう無国籍
ホーミーを操るだみ声のおっさんのボーカルが渋い
いきなりZZTOPみたいな泥臭いハードロックになったり
フリージャズっぽいアプローチをしたり
トランステクノっぽい曲もあり
けっこうめちゃくちゃ
全体的に売りであるホーミーが絡むのが素敵です
8ビートに絡むホーミーはちょっとうっとりモノです
(僕は密かにドラムを叩きながら、ホーミーを奏でる、ホーミードラマーを目指していたのですが
先にやられてしまったようです(笑)

お勧めは4枚目のTuba.Rockかな
ジャケットも良いでしょ

モンゴル好きにはたまらない4枚

11月19日

僕らは世界の一部でありながら
世界から追放されていると感じている

私は完璧であったことはありませんが
私は現実なのです

物事について、考えを固めてしまわず
心を開いていれば
世界を眺める目も丁寧になる

自分が何もかも答えを持っているわけではないことを
認めることが肝要であり
すべて答えを持っていると思っている人には
何も大切なことは言えない


ポール・オースター編
ナショナル・ストーリー・プロジェクト
の序文の中の
印象に残った文章を書き出してみました

この本は、彼がラジオ番組で
全米のリスナーから集めた体験談を本にしたものです
ひとりひとりの体験の中に(物語の中に)
ひとりひとりの世界のしくみがあります
60憶の人がいれば
60憶の世界のしくみがある

たとえば誰かと話していると
その人が世界をどういうしくみでとらえているのかが
何となくわかるのです
僕はそれが知りたいし
僕自身も世界がどういうしくみになっているのか
探っていきたいのです

11月21日

今日は酉の市

観てはいけないモノをみてしまいました

去年酉の市で買った縁起物の熊手たちは
一年後再び神社に集められて
ご祈祷の後
お炊きあげという儀式をするんだろうな〜思っていたのですが
実は
集めた熊手は
その場で装束姿をした若者(バイト?)が、
祈祷棒を振ってお払いをした後
区の清掃車が持って行くのです
清掃車のプレス器で
ばきばきという音を立てながら熊手がつぶれていく様を
あっけにとられて見つめていました
(僕の熊手もね)
お炊きあげは
清掃局の焼却炉でやるのね(泣)

大量の熊手を
ここでお炊きあげしたら
近所迷惑だものね
しょうがない

神社にお参りをした後
露店で
五平餅とたこ焼きとビールを買って
寒空のもと
バス停のベンチに座って頂きました
やはり
こーゆうものは
家に持ち帰るより
雑踏の中で食べる方がおいしいよね

五平餅を売る露店の親父は
面白い親父で
女の子が、おじさんどこから来たの?
って聞いたら
オリオン座
って言ってました(笑)

11月22日

download.com

最近お気に入りの音楽無料配信サイトです
インディーズ、マイナー系のバンドのMP3ファイルを無料で配布しています
一つのバンドでダウンロードできる曲数はたいてい2,3曲なのですが
なかには10曲ちかくダウンロードできるバンドもあります
ロック、アヴァンギャルドジャズ、オルタナティブなど
ほとんどすべてのジャンルを網羅しています
ダウンロードしたフリージャズ系バンドに関しては
かなりクオリティも高く
良いバンドがそろっていました
(もう2G近く落としちゃった)

お気に入りは
alex cline ensamble
anderberg home

知らないバンドがいっぱいあって
知らない音がいっぱいある
ああ、うっとり(笑)

新たな音を探している方にはお勧め!

11月24日

Throw down your arms

sinead o'connorの新譜

彼女の過激さと優しさが好きです
僕は女性に繊細さなんて求めません
繊細な女性なんてこの世に存在しませんし(笑)

過激さは特に大事

新譜も悪くないのですが
Universal Motherがいちばん好き
タイトルもジャケット絵もいいでしょ
僕は宇宙マザーコンプレックスですから(笑)

Universal Mother

11月25日

資料を観ながら人の顔をデッサンしているのに
できあがると生前親しくしていた人にそっくりな絵になってしまう
ということが
たまにあります

そういうときは
あ、僕が心配で会いに来てくれたのね
って思うことにしています
そうそう、心配でしょ
心配しろよ
とか独り言を言いながら今日も絵を描く

亡き父親の顔に似た絵が描けちゃったときは
ちょっとびびる(笑)
父親には一度も怒られたことはないのだけど
いまでもちょっと怖い