かものはし日記
2006年8月号


8月1日

「ねぎ豚」を作りました

長ネギ6本を半分に切り
なべのそこに敷き詰める
豚のばら肉の塊(700g)を3センチ幅に切って並べる
醤油、紹興酒を1/2カップ
水1カップ入れて
ふたをして、煮込む
沸騰したら、弱火で1時間半

砂糖などを入れて
甘辛く煮たりしてはいかん

紹興酒なんてないから
焼酎で代用

簡単でおいしいです

8月2日

久しぶりに母と会う
相変わらず気丈で毒舌、おまけに切れ者
とはいえ
もう70才(推定)という高齢だし
息子としては優しい言葉の一つもかけてあげたいのだけれど
そういうスキがない
やれやれ
もうちょっと弱らないかな(笑)

8月3日

ブルックリン育ちのNYミニマル音楽第三世代
bang on a can を3枚

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bang on a can all-stars/music for airports

言わずと知れたアンビエント・ミュージックの傑作
ブライアン・イーノのmusic for airportsの
アコースティック・カヴァーです
テープ・ループを駆使したオリジナルを
生演奏で再現
生演奏ゆえオリジナルより生々しく感じますが
そこがいい

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bang on a can + iva bittova/elida

チェコのアヴァンギャルド・バイオリニスト イヴァ・ビトヴァとの共演
野性的で奔放な歌声ゆえケイトブッシュと比較する人もいるようです
10年ほど前
東京FMホールで彼女のライブを観ました
丈の短い地味な色のワンピースを着て
バイオリンを弾きながら
踊りながら
歌います
激しく踊るのでパンツ丸見え、しかもノーブラ
若干気が散りましたが
すばらしい演奏でした(笑)

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bang on a can/renegade heaven

この三枚の中では一番オーソドックスな演奏かな
ガムランのような感じ
都市原住民達のためのシャーマン・ミュージック

都市の中のシャーマニズムとは
いったいどういうものなのか
というのが
僕が絵を描くときの基本テーマなのです
彼らの音楽を聴いていると
そのイメージがより明確になるような気がします

8月4日

アンチョビとオリーブの酢漬けを購入
久しぶりにちゃんとプッタネスカを作る
トマトソースを作るのに使う白ワインをぐびぐび飲みながら調理
しかし夏場の台所は暑い
熱中症になりそう

おいしいパスタができました

やっぱりアンチョビ使うと違うな〜
コクが違うのよ

8月5日

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Dalai Lama、Bill Laswell、Toshinori Kondo / LIFE SPACE DEATH

すごいメンバーのバンドです(笑)

ダライ・ラマ14世のメッセージに
近藤等則のエレクトリックトランペットとビル・ラズウェルのベースが絡む
メッセージは
「生命、宇宙、そして死」
ダライ・ラマの声が素敵です
力強くて優しく深くそしてユーモアにあふれた声質
自分でつっこんで、自分で笑っちゃうのがとてもチャーミング
声というのは
表情同様
その人の精神性がよくでますね

午後から
新宿にある経王寺へ
戦没者慰霊法要に行って参りました
第一部は、法話と朗読
住職の法話は
宮沢賢治「雨にも負けず」について
この詩はどこかに発表したわけではなく
自分の生きるテーマとして手帳に書いてあったものだということを知りました
その後
北原久仁香さんと原洋子さんの語りによる慰霊供養
長崎で被爆した楠のお話
絵本「戦争で死んだ兵士のこと」
絵本「花咲き山」
杉みき子作「ともしび」

言葉一つ一つがとても優しい

第二部は法要です
献灯、献水、献香、供養
献水は、被爆した楠の種から育った小さな苗に水をあげます
そして
4分の5拍子、4分の3拍子の太鼓に合わせた
4人の女性のお坊さんによる声明が圧巻
お経って
いつまで聞いていても飽きないな〜(笑)

誘われて行ったのですが
とても素敵な時間を過ごせました
人が自分の中の優しさに立ち返ることができる時間を作るのが
宗教です

戦争したり
女の子をはべらしたりすることじゃないのさ

夜は六本木ヒルズで
黒糖焼酎を飲みながら
奄美の島唄ライブ
後半ライブが盛り上がってきたら
いきなり知らないおばちゃんに引っ張りだされ
一緒に踊らされました(笑)

踊りながら思いましたが
最近流行のゆるゆる体操のような、体の緊張をほぐすストレッチが
生活の中に昔からちゃんとあるんですね

8月6日

これだけ毎日暑いと
やはりゴーヤ・チャンプルーですね

テレビを観ていたら
沸騰したお湯にちょっとオリーブ油をたらして
千切りしたゴーヤを10秒ほどゆでると
苦みが取れると言っていたので
ためしてみました
(オリーブ油はゴーヤの緑を鮮やかにする)
苦みが好きな人は
やらないように

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steve jansen/stories across borders

越境する物語
個人の物語が、個人を超えて世界に影響を与えていく
その喜びと悲しみ
そういうイメージかな
ジャンセンのドラミングは手数が少なくて
間を大切にしているところが好きです
スネアの響きもいい
暑すぎる夏には
最適なパーカッシブで切ないアンビエント音楽

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mick karn/three parts species

ミック・カーンの新譜
ジャンセン同様、無国籍で、どこかエキゾチックなアンビエント
ほぼ一人で演奏録音された内省的な音楽です
元ジャパンの連中はこんなのばっか
音楽家なんだから
もうちょっと他人と絡めよ(笑)
(音楽家は、絵描きと違って
他人と絡めるのがうらやましいのに)
でも
出来はいいです
こういう孤独で内省的な音楽が必要なときもあるしね

8月7日

30年ほど前
物理学者のフリチョフ・カプラは
21世紀は「東洋と女性の時代」になると予言しました
21世紀になっても
あまりそういう気配がないので
心配していましたが
最近、身の回りにそういう女性が
増えてきたり
まっとうな女性性を備えた男性にも
会えたりと
ちょっといい感じになってきました

東洋とは
森の思想の事だと思います
二元論や還元主義を乗り越えていくもの
森から脱出するための西洋的なテクノロジーではなく
森を進化(深化)させるテクノロジーへのシフトは
自分の身体が
70兆の細胞が織りなす
「森」であること
様々な気配を備えた
「森」であること
という認識、感覚から生まれてくるのだと
思います

そして
最終的には「音楽」になること
これが僕らの未来です

8月8日

という意味から言えば
音楽は人間が生み出した最高のテクノロジー

子供達に英語などの第二外国語を教えるより
楽器をひとつ教えた方がよっぽどマシなような気がします
楽器を一つ持って
海外に出かけ
いろんな国の人たちとセッション
情報より気持ちの交換の方が大切

夜は
日比谷の三信ビル内喫茶店
「new world service」にて打ち合わせ
昭和5年に立てられた美しい建物です
取り壊しが決定したようですが
独特の気配がある個性的な建物が東京からどんどん減っていくのは
とても残念なことです
古いものをどんどん壊して
プレハブみたいな無機質な建物ばかりの東京
都市のランドスケープは
その都市に住む人たちの精神性そのものです

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(C) FORES MUNDI
http://www.archi-map.net/

8月9日

今日はちょっとしたお祝い
浅草に鰻を食べに行く

8月10日

昨日は満月
たまには月光浴をしながら
寝ようかと
ベッドの横の窓を開け放つ
月は
台風が過ぎ去って、空気が澄んでいるせいもあるのか
とても明るい
(読書もできそうだ)
月がなかったら
人は宇宙を目指しただろうか
手近な目標って大事だよね
(そもそも人間の精神にどんな影響をあたえなかったのだろうか)
とかなんとか思いながら眠りについた


ひどい悪夢で目が覚める
なんで?(笑)

8月11日

人はそれぞれ身体という
森、もしくは宇宙を
任されている
任されている以上
その宇宙の住人に対する責任がある
70兆の細胞のひとつひとつの意識に気を配り・・
って書いていたら
テレビでやっていた平成版「妖怪大戦争」に
気を取られてしまった
なかなかエロくていいな〜
子供の頃観たかった

8月12日

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in praise of shadows/chicago underground

コルネット奏者のロブ・マズレクとドラマーのチャド・テイラ−によるユニット
4年ぶりの新作
都市原住民による民族音楽ジャズ

都市に生活する人たちはどこへ向かおうとしているのか

自然に回帰しようとしている音楽もある
もちろんそれもひとつの素敵な答えである
自然には帰れないけれど
自然との新しい関係性を生みだそうとあがいている音楽
それもとても興味深い
これは、後者

タイトルは、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」からとったのかな

8月13日

「寂しさ」研究者の僕は
人の寂しさにとても興味があります
(イラストレーターと言う仕事の傍ら、「寂しさ」の研究者として
「寂しさ」学会にたくさんの論文を発表しております(うそ)

自分の中の寂しさや孤独に向き合っている人に会うと
とても魅力を感じるし
畏敬の念を禁じ得ません

どんなに愛し合っていても
人は寂しいのです

それは
寂しさが自分が他者と違うという証だからです

それゆえ
寂しさは悲しむべきことではなく
むしろ素敵なことだとおもうのです

唯一無二の存在としての自分を
ダイレクトに感じられる感情としての「寂しさ」
寂しさは
時に荒馬のように扱いづらくなりますが
それを上手に乗りこなすには
「優しさ」が必要なのでしょうね
そこが難しいところですが・・(笑)
(寂しさは油断すると簡単に憎悪に変わってしまうから)

8月14日

ゴキブリがゴキブリほいほいに捕まる瞬間を目撃する

ゴキブリと言えば
学名 プロトテリトロン
威厳のある名前だ。
2億年前から、ほぼその形態が変わらないパーフェクト・ボディ
人間なんてたかだか300万年前に湧いてきたわけだから
彼らは地球の大先輩なわけ
そのごきぶりが人間の罠にはまるとは、とても悲しいこと
さらに粘着液で
動けなくなって徐々に死んでいくなんて
なんとも酷い罠である
コックローチで毒殺した方がよっぽど人道的だ
ごきぶりほいほいを発明した人の来世は
多分ごきぶりになって同じ目に遭うであろう
使った人も同罪

因果はめぐるのである

8月15日

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今年の6月にガラパゴスゾウガメのハリエットが亡くなったそうです
享年176才
この惑星で生きている動物の中で最高齢
4歳くらいの時ダーウィンの会ったことがある(飼われていた)というふれこみですが
どうやら作り話のようです
(でも夢のある作り話)
先日、テレビで彼女がハイビスカスの花を食べている映像を見ました
ハイビスカスの花が好物で
思慮深く優しい目のおばあちゃん

彼女は何を考えていたんだろう

8月16日

相方の後藤啓介が書道の展覧会に参加をしたというので
表参道のギャラリーへ
後藤は、「雲」と「雪龍」という字をイメージ豊かに書いておりました
字の選び方も
書への展開の仕方も後藤らしくてよかった

その後

「寂しい熱帯魚」や「きっかけはフジテレビ」で知られる振り付け家の香瑠鼓さんの
ライブを観に渋谷クロコダイルへ
ギター、ヴォーカル&ダンス(香瑠鼓)、MC(仲間由紀恵とダウンローズの人らしい)という3人編成
さすが振り付け家だけあって
本番直前
体の中の気を整えるような仕草がとても印象的
なかなかかわいいバンドでした
実は
このバンドのCDのジャケット絵を描くのです
どんな風に描こうかな


8月17日

人間、バランス感覚が大事
というのは、もっともな話なのだが
そもそもその前に
俺はやじろべえの上に本当に立っているのかという疑問もわく
先入観という
疑似やじろべえの上にいて
バランスを取っているふりをしているだけかも

新たなバランスポイントを探すのが
絵を描くと言うことでもあるし
がんばらなくちゃね

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the vandermark quartet/solid action(1994)

シカゴを拠点に活動するサックスプレーヤー、ケン・ヴァンダーマークのカルテット
久々にいいものを見つけました
これぞハードコアジャズ
危ういバランスの中を野生の感覚で走り抜ける

こーゆうの聞くと勇気が湧いてくる

8月18日

誘われて観劇、下北へ
「牡丹灯籠」
次の北村薫原作「語り女たち」の朗読公演に新たに加わる俳優、井原農さんが
出演されているのです

「必ず会いに来てください
あなたが会いに来てくれないと
私は死んでしまいます」

恋する男との別れ際の女の台詞に思わず笑ってしまったのだが
笑っているのが僕だけだった(笑)
(ええ?笑うところじゃないのか)

なんてこという女だ
って思ったんだね

久々の観劇
目の前で繰り広げられる人間力に
圧倒されました

観劇後
ブーゲンビリアという泡盛を飲みながら
やけにおいしいゴーヤチャンプルー
うーむ、どうやって作るんだろう

8月19日

動物霊
憑依するのは動物ばかりなのでしょうか
植物霊というのはないの?

あなた、さくらの霊が憑いてますよ
今、満開です

あなたの背中に縄文杉が・・

とか、言われてみたくないですか?(笑)

8月20日

知らない女と結婚させられる夢を見る
友人達が祝福している
みんなにこにこしている
え、なんで?
いや・・
いやだ!
いやだ〜〜〜

と言うところで目が覚めた
最近悪夢が多いな

さらに観劇
中野 ザ・ポケット
「疚しいのはお前だけじゃない」
笑って泣ける大衆演劇風お芝居
お勧めです

みんな偉いよ
一生懸命やってるよ
役者魂〜

8月21日

買い損なっていた傑作

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meridiem

Percy Howard--vocals
Charles Hayward--drums, percussion, cowbell, wurlitzer
Fred Frith--guitar, radio, organ, violin
Bill Laswell--bass, fuzz bass

フリーロックバンド、マサカーの凶暴リズムセクションに
Percy Howardの甘い歌声
もううっとり
98年の作品
何で買い損ねていたのか不思議

8月22日

ベーコンはブロックで買うと
なかなか便利

最近
NHK時代劇 人情届けます・江戸娘飛脚(再放送)の
原田美枝子さんの和服姿にうっとりしてます
歳を重ねるごとに綺麗になっていく人

8月23日

太陽系の惑星が
セレス、カロン、2003UB313を加えて
9個から12個になると言う話から
冥王星をなくして
8個にするという修正案がでているらしい
教科書から冥王星が消えるのはいいけど
ガミラスの冥王星基地はどうなる
反射衛星砲は?


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染みこむ歌声

8月24日

「対話欲」

睡眠欲や食欲など命に関わる欲望を別にすれば
対話欲は性欲より強いような気がする

人は対話する生き物
対話なしでは生きていけない生き物かもしれない

話すことで
滞った気持ちがスムーズに流れる
お互いの気持ちが良く流れるように
プロデュースしあいながら対話ができるのが
「友人」っていうんだろうね

8月26日

レンコン依存症、発症。

大量にレンコンを買って
大量にレンコンのきんぴらを作り
一気食い(笑)

レンコンの歯ごたえってたまらない
そろそろ旬です

マリネもつくろかな

8月27日

おへそのすぐしたのちょっとしたふくらみ
女性のヌードを描くときに
そういう微妙なラインって、デッサンをとるときのリズムになるし
ほのかなエロスをかもしだす
でも
今日テレビを観ていてわかったことだけど
それって、内臓脂肪がたまっているっていうことらしい

エロスって不健康・・・

8月28日

「視力0.3の世界」

めがねをかけると僕の視力はだいたい0.3
久々にコンタクトレンズを入れてみたら
あまりに世界がはっきり見えてしまってちょっと驚く
人の険しい表情
何かの結晶のように硬質すぎる町並み
細かいゴミもよく見えて、意外と部屋が汚いのがわかる(笑)
視力1.0の世界は僕にとってはちょっとしんどい

0.3くらいのぼんやりした世界がいい

あとは気配で補う

8月29日

打ち合わせ
とてもポジティブな雰囲気をまとっているフリーの女性編集者
二人の男の子猫と同棲しているそうです
うらやましい
(本人はものすごく大変だと言っておりましたが・・)

8月30日

秋の気配
朝、熱いコーヒーを飲むのにはよい季節になりました
早朝、むくりと起きてコーヒーを飲む時間が
一番幸せ
一日の中の幸せのピーク
後は少しずつ下がっていきます(笑)


8月31日

誘われてボサノヴァ
吉祥寺ストリングス

聞くところによると
天使の羽を持って生まれてくる人は、全人口の5パーセントくらいいるそうです
ボサノヴァの歌姫、吉田慶子さんは
まさしくそのひとり

ささやくような美しい歌声
満面の笑顔

北村薫原作「語り女たち」の中の短編の一つ
「海の上のボサノヴァ」のモデルになった方です

そのうち綾戸智絵さんのように
ブレイクするでしょう
(ほんとうに素敵なものは流れるように自然に世界に浸透していくのです)
要チェックです