かものはし日記

2007年4月号


4月1日

ちょうど今月で
かものはし日記も10年
10周年ですね
えらいとは思いませんが
われながらすごいとは思います
継続は力です
(なんの力がついたのかわかりませんが(笑)

自分の日記を一度も読み返したことはないのですが
この10年でずいぶん考え方も変わったと思います

かつては
葛藤の中で生きることこそが
正しい生命力の発露だと思い込んでいたのですが
いまはただ
葛藤を超えて
「はつらつ」と生きたい

それだけ

今後ともよろしくお願いいたします

4月2日

自由であること、とは

執着しないこと
ではないような気がします
執着しないという行為は
すべてにおいて無関心になることと同じなのでは
と、思われます

自分が何に執着しているのかを観察し
良し悪しを評価せず
ただ理解する過程の中にこそ
自由があるのかもしれません

4月3日

フランス国立宇宙研究センターが
過去50年にわたる1600件以上の未確認飛行物体の目撃情報を
公開したそうです
国家機関がそういうことをやるというのは
結構画期的
僕が子供だった70年代
「UFOと宇宙」といういかがわしい雑誌があって
僕はその愛読者でありました
UFO
UMA
ピラミッドパワー
超能力
キルリアン写真
などなど
いかがわしい疑似科学満載
ま、しかし
いつでも最先端はいかがわしいものです
UFOの正体がなんであれ
空に訳のわからないものが飛んでいる
というのは素敵なこと
僕の説は
成層圏に住む新種の生き物であるような気がします(笑)

4月4日

NHKの料理番組でやっていた
タケノコと薩摩揚げのきんぴらをためしてみました
タケノコを炒めた後
薩摩揚げを入れ
醤油、みりん、酒で味付け
最後にぱらりと鰹節

春の味です
おすすめ

4月5日

版画家の大野さんの展覧会を観に
船橋へ
楽器を演奏している猫の巨大なドローイングが圧巻でした
地元のギャラリーを借りて
籠もって描いたそうです

描いてて、気持ちよかったですか?
と聞いたら
うん、ものすごく気持ちよかった
と言う答えが返ってきました

生きるとは
世界への愛撫です
ああっ・・いい(笑)

4月6日

命がけで歯を磨く

日々の生活の中で命をかけると言うことは
言葉ほど大げさでも重々しいものでもなく
「習慣的にならない」
ということだと思います
瞬間瞬間に注意を向ける
どんな些細なことでも。
歯磨きの時は歯磨きに集中する

心はいつも
過去か未来に囚われています
ネットワークの進化が現実と非現実の境界線を曖昧にしたわけではありません
もともと
心そのものが仮想現実
心の映し出す幻想に惑わされず
今だけに集中する
そうすれば
野生動物のように
大きな生命力の中で
はつらつと生きていけるのだと思います

命がけの中に創意がある
地球での
野生動物としての人間の役割がこれなのかもしれません

4月7日

久々に鮮明な夢

実家が巨大な洞窟のような水族館になっていて
弟が館長
僕は手乗りマッコウクジラ?を大きな水槽に放す手伝いをしています
水族館には地下に四川料理の食堂があるのですが
料理人達は実は全員シャーマン
彼らは鈴のようなものをならしながら僕に除霊?のような儀式を
してくれました
夢の中で鈴の音があまりに大きくて
そこで目が醒めてしまいました

気のせいか
頭はすっきり
ほんとに除霊してくれました?(笑)

4月8日

朝起きたら
井川炎上

今日は花まつり
お釈迦様の誕生日です
東京都知事選挙の投票に出かけようとしたら
大家さんに甘茶を頂きました
(ついでにお豆腐も)

天上天下唯我独尊

この世界に不必要な人はいないはず
たった一人の人間の不幸せが
世界のバランスを崩すというのがお釈迦様の教えの
拡大解釈(笑)

オリンピックという時代遅れの夢など
不必要
一人一人を大切にする政治をして欲しい
(もちろん動物たちもね)

4月9日

070410.JPG - 10,374BYTES

mark hollis / mark hollis

優しい音楽です
ロバート・ワイアット好きにはお勧め

音楽は感情を評価しません
哀しみ、陰鬱、憔悴、寂しさ、などのネガティブと言われている感情を
評価判断せず
ただ「観る」。

悲しいとき悲しい音楽を聴くと
ちょっと元気になるのはそういうこと
癒してくれるのではなく
悲しみを見続ける、という方法を教えてくれる
見続けることで元気になるのは
それは生命力の根元が
「探求」
だからだと思われます

自分の中で起こるどんな些細な感情も取りこぼしてはいけないのかもしれません
それが探求への手がかりになるのなら

4月10日

朝のニュース
高松塚古墳の石室を解体するために呼ばれた
石工職人、飛鳥建設社長の左野勝司さん
彼はかつてイースター島の石像を復活させた匠です
失敗が許されない国宝級の石室を
解体作業することへの緊張感で
尻込みしている同僚に向かっての彼の言葉が素敵でした

笑いがでるということは
一歩進んだこと
厳しい顔をしているときは
一歩も進んでいない

観念を操るのではなく
体を使って生きてきた
職人ならではの身体的叡智です

4月11日

070411.JPG - 12,000BYTES

greg davis / arbor

ラップトップ・フォーク、フォークトロニカというジャンルらしい
アコースティックな雰囲気にエレクトロニクスが絡む
優しくて透明な音楽

透明さ、というのは、とても大事
透明になるまで突き詰めていく
ネガティブな感情も
判断せず透明になるまで見続ける
透明な憎悪
透明な嫉妬
透明な・・

すべてを透明にする

4月12日

松坂 VS イチロー
初対決
初球はカーブ
怪訝な顔のイチロー
フルカウントの末、ストレートをピッチャーゴロ
まるで映画を観ているようだったよ

4月13日

神の手を持つと言われている
脳外科医の福島孝徳先生のドキュメントを
夕方のニュースで観ました

ものすごくむずかしい手術は
私一人ではだめなのです
何かが降りてきてくれなくては・・

という彼の言葉が印象的でした
神様が降りてこないと○○できない、というのは
よく芸術家が口にする言葉ですが
それを脳外科医も感じていることに
少し驚きました

4月14日

070414.JPG - 120,252BYTES

ひき肉たっぷり 元気になるラザニア / 飯田ようこ (東洋経済新報社)

という、単行本の表紙を描きました

070414-2.JPG - 206,785BYTES

こんな感じで
見開きで描いております
編集ははつらつ編集者のKさん
デザインはいつものMさん
楽しくお仕事をさせて頂きました
ありがとうございました

どうぞよろしくお願いいたします

4月15日

今年は亥年のせいか
自分の身の回りでいろいろなことが起こります
その中には憎しみを抱くものもいくつかあります
憎しみを抱くのはしょうがない
でも
根付かせないように気を付けています
憎悪は言葉です
人は言葉を持ってしまった故
感情が観念として心に根付きやすい
そして毎日それに水をあげて肥料をあげて
丹誠込めて育ててしまう

憎しみを根付かせないためにはどうすればいいのでしょう

憎しみを根付かせないためには
「笑う」しかないのです

人は笑う霊長類
ホモ・ワライナス(笑)

4月16日

070416.JPG - 161,729BYTES

夜明け少女 

4月17日

岡本かの子(岡本太郎のおかあさん)の詩

足裏の土踏む力
女人われこそは
観世音菩薩なり

棟方志功の版画で知ったのですが
この詩が大好きです
こんなイメージで女性が描けるといいんだけど・・

4月18日

「世界について行けなくなりつつある三つの項目」

江角マキコと青木さやかの区別がつきません
(おそらく同一人物で、化粧を変えているだけでしょう(笑)

ラオウの葬式
って、マンガのキャラじゃん(北斗の拳)
葬儀委員長が谷村新司?
確か、あしたのジョーの力石がマンガの中で死んだときも
葬式をやっていたような気がします・・

そのうち日本でmixiのように流行りそうな
バーチャルワールド second life
新たなビジネスチャンスとして話題になっているそうです
仮想世界の中で好きな姿の自分を選んで
土地を買って
家を建てて・・
(この世界へのアクセスは無料だそうですが土地は有料だそうです。)
一つの人生でも大変なのに
何で2つも人生を体験しなくちゃいかんのだ


4月19日

注文していた水彩紙が大量に届く
展覧会に向けて
これからもくもくと絵を描く
もくもくもくもく・・

4月20日

070420.JPG - 14,057BYTES

pnyc roseland new york / portishead

ポーティスヘッドのニューヨークライブ映像(1998年)
ひどくすばらしい鬱病の音楽です(笑)
日頃、溌剌が大切だとか言いながら
結局僕は油断しているとこういう音楽に惹かれてしまう
ピンクフロイドのようなメランコリックで浮遊感あふれる音をバックに
(ドラムがピンクフロイドのニック・メイスンそっくり)
陰鬱で苦しげにベス・ギボンズが歌う

「誰も愛してくれないけど、それはほんとうのこと」

いやいや、そんなことはないでしょ、と
ツッコミを入れながら聞いています(笑)

こういうイギリス特有のメランコリックな音楽を聴いていると
イギリスの文化の根底にあるものと日本のそれは
かなり似ているような気がします

両方ともシャイであると言う意味で日本人とイギリス人はよく似ていると
ミック・ジャガーが言っていました

ようするに
両方とも島国鬱なのかも(笑)

4月21日

うむ

4月22日

「おまえの武器やあらゆるものは
おまえにくらくおそろしく
まことはたのしくあかるいのだ」

宮沢賢治「青森挽歌」より抜粋

訳がわからないけれど
すごい詩です

ほんとうの闇とは
言葉が生み出した
ネガティブな感情でもなく
トラウマでもなく
後ろ暗い欲望でもなく
意味という光があたっていない
すべてがあるがままの場所

愛は理知の光の中ではなく
あるがままの闇の中にあるのかも

4月23日

俊介は偉いね〜
小さくて華奢でも高性能
かつてのソニー製品のようですね(笑)
日本の天才が世界の天才でもあることがすばらしい
それにひきかえ
松坂はどんなもんでしょう
本当に怪物なのでしょうか
どうもデビュー当時から疑っております
70年代に活躍したELPというプログレバンドのキーボーティスト
キース・エマーソン
この人の演奏はもの凄いのだけれど
だれかが
この人はただの天才なんだよ
と言っておりました

ただの天才ってなんだよ?

才能とは
不可解なものです

ただの怪物、って言われるのはいやだろ(笑)
ちゃんとやってね

4月24日

070424.JPG - 14,012BYTES

patti smith / twelve

3年ぶりの新譜です
今回はカヴァー集です

1. Are You Experienced?(ジミ・ヘンドリックス)
2. Everybody Wants To Rule The World (ティアーズ・フォー・フィアーズ)
3. Helpless (ニール・ヤング)
4. Gimme Shelter(ローリング・ストーンズ)
5. Within You Without You (ビートルズ)
6. White Rabbit(ジェファーソン・エアプレイン)
7. Changing Of The Guards(ボブ・ディラン)
8. The Boy In The Bubble (ポール・サイモン)
9. Soul Kitchen (ドアーズ)
10. Smells Like Teen Spirit(ニルヴァーナ)
11. Midnight Rider (オールマン・ブラザーズ・バンド)
12. Pastime Paradise(スティーヴィー・ワンダー)

いきなり一曲目はジミヘンのAre You Experienced?ですが
まったく違う曲のようです
彼女が歌うと
彼女の曲になってしまうんですね

すばらしいアルバムです

4月25日

今日は
僕が表紙を描かせていただいた
「ひき肉たっぷり、元気になるラザニア」の
出版記念パーティに出席
恵比寿へ

著者の方が起業家なので
参加者には若い起業家の方がたくさんいたりして
華やかな雰囲気でした
(壊れたハードディスクのデータ復旧をする会社の社長さんと名刺交換
いつお世話になるかわからない(笑)

よかった
ちゃんとした格好をして出かけていって(笑)

ちょうどパーティ会場が
7月の個展の会場に近かったので、ちょっとご挨拶
ちょうど
宇野亜喜良さんの原画が展示してあって
感動しました
彼はやっぱり僕のヒーローだな〜

4月26日

ちょっと二日酔いです
そんな朝は、

070426.JPG - 4,594BYTES

super roots 8 / boredoms

手塚アニメ ジャングル大帝のカヴァーです
パーカッシブでアバンギャルドなアレンジ
スチールドラマーのヤン富田がリミックス
ハッピーサウンド!

昨日もそうですが
最近は初めての方と会う機会が多いせいか
絵のイメージと本人がずいぶん違いますね
と、よく言われます

やっぱそうなのかな

4月27日

070427.JPG - 10,906BYTES

inner diaspora / ned rotehmberg

音楽は無力だからこそ美しい

と、だれかが言っておりました
それは芸術全般に言えること

僕は今
無力感でいっぱいです

うっとり(笑)

4月28日

寂しさ研究家としての意見ですが(笑)
寂しさを何かで埋めてはいけない
と、思います
僕はいろいろなもので寂しさを埋めようとします
ものとか
他人の気持ちとか
自尊心とか
憎悪とか
・・・
そういうことをしないで
ぽっかり空いた寂しさの穴は
ただ
じっと見つめるべきなのかもしれない

瀬戸内寂聴さんがどんな方かは
ほとんど知らないのですが
寂聴という名前は素敵です

寂しさを聴く

観るだけじゃなくて
聴くのもいい

4月29日


某都知事制作総指揮の戦争映画
「君のためにこそ死ににいく・・とかなんとか」
の公開など
なにやらきな臭い
最近はメディアが
憲法9条改正の伏線として機能しているような気がします

世界の外交の基本は
たぶんこうだ

なめられちゃいかん!

国家としてのプライドを取り戻すために
憲法を改正しなくてはならないと考えている人が増えているのかもしれない

いいじゃん
なめられても

もっと舐めて(笑)

日本は
お人好しでだまされやすい国でいいんです

4月30日

うう、もう四月が終わってしまった
個展まで2ヶ月ちょっとか(泣)
そろそろ気合いを入れないと・・