かものはし日記8月号


8月1日

今日の俳句+ドローイングは
なかなかお気に入り
「雲」が先生、って感じでしょ

学生時代の友人と久しぶりに電話で話す
なんか僕が危ないギャグを言ったらしく
「まだそんなこと言っているのか」と友人にたしなめられた
すみません
成長しない(大人になりきれない)職種なんです
絵描きって
(人間関係の苦労がないから・・
いや、後藤とあったぞ)

8月2日

最近夏休みな妻は
オープンカレッジに通っています
偉いね
でも社会人になってから
いろいろなことを経験したあとに
いろいろなことが知りたくなって
勉強ってしたくなるんだよね
勉強かあ
勉強って・・

この仕事を始めて15年くらいになるけれど
実は、初めて名刺を作った(笑)
なんか大人になったようでうれしい

8月3日

ポストカードもきれいにできあがり一安心
近所の居酒屋で
デザイナーの友人とちょっと打ち上げ

猫の額ほどのベランダで
線香花火をする
線香花火というのは
限りなく内面的な花火ですね
なぜか様々な気持ちが集中してしまう

8月4日

額装にもれた小さな作品を集めて
クリアファイルに入れて
一冊の本のように編集する
本のタイトルは
blue book
なかなか楽しい作業でした

8月5日

SF大会!
行くのは10年ぶり
昨日の晩は
大会に行くのが怖くて
おなかが痛くなっちゃった(笑)
加藤+後藤の部屋は
司会の小浜さん(創元推理文庫編集者)が盛り上げてくれて
予想以上にたくさんの方が見に来てくれて
とっても楽しかったです
ありがとう
小林めぐみさん(作家)にもはじめてお会いできました
ご結婚されるそうで
おめでとうございます
はじめて会うのも楽しいですけれど
数年ぶりに会う方と旧交を温めるのも楽しく
久しぶりに夜遅くまで飲んでました
後藤は途中で寝てました(笑)
(彼は早寝早起きだから)

8月6日

ようやく準備が整って
一安心
明日から
展覧会の開催です
よろしければ是非いらしてください

メールのお返事遅れております
すみませんです

8月7日

展覧会初日のせいか
たくさんの方がいらしてくださって盛況でした
銀座という場所がら
外国人の方がけっこう入ってきて
英語で話しかけられるのには苦労しました
横で妻が通訳をしてくれるので
まあ何とかなるのですが
ネイティブの英語の発音は早くてほとんど聞き取れません
僕の絵は
コントラストがあまり強くないのがいいんだそうです
最近の絵はコントラストが強い絵ばかりで
君の絵はなかなかいいよと言われました
いつもコントラストが弱い、と
各方面の方に言われているのですが
はじめてほめられてとてもうれしかったです

後藤の売り絵も
5点ほど売れました
残りあと5点です
急げ

8月8日

昨日の忙しさが嘘のよう
今日は観に来てくれた方とゆっくりお話ができました
(お昼ご飯も食べる余裕があったし)
遠くからわざわざ来てくれたファンの方もそうだけれど
とくに友人たちは
今日来てくれればゆっくり話ができたのにちょっと残念
すまん、北海道の潔癖性の友と(笑)彼の美人な奥様
あまり話ができなくて。
なかなかまんべんなく物事が運ばないのが
この世界の法則らしい
忙しさはいつも固まりでやってくる

後藤の絵
また売れました
残りあと4点

8月9日

お盆休みの東京は
人がまばらでなかなか快適
今日も銀座まで座って出勤
今日は友人知人がほとんどで
ゆっくりお話ができました
友人たちは
僕の絵と後藤の絵の違いに
なにやら納得した様子で感心してました
そうか、そーゆうことか
とかね(笑)
妻の友人が言うには
僕の絵は「水」で
後藤の絵は「空」だそうです
なかなか素敵な表現をしてくださってありがとう

帰宅後
数時間にわたり
夜空に稲妻が走り
部屋の電気を消して
しばし自然のショーを堪能
自然のダイナミズムにふれると
気持ちが引き締まります
ぴか
ごろごろごろ

8月10日

5年前の展覧会に来てくださった方が
今回も来てくださって
そういえば
見覚えがあるような。
ありがとうね
今日は理系の学生の方が多く
マシン語とかアセンブラの話で盛り上がったりして(笑)
一方
僕の担当の宝塚ファンの編集者さんが来てくれたとき
ちょうど妻の友人で宝塚のライターをやっている人がいて
宝塚で盛り上がってました(笑)
カップルも来る方も多いな
彼氏の目の前で
彼女と両手で握手をしちゃったりして
彼氏、すまん(笑)(いや、あんまり美人なもので)
いつもメールをくれる方々が来てくださって
うれしいです
朝焼けの写真をいただいたり
気を使っていただいて恐縮です
林田さんも
福岡からわざわざありがとう

8月11日

さすがに展覧会5日目ともなると
そろそろ疲れが。
なんか朝起きたら左胸が痛い

8月12日

会場で
久しぶりの友人に会えてとてもうれしい
15年ぶりくらいかな
今は何をしているのと聞いたら
なにやら国家機密に関わる仕事をしているらしく
多くを語れないのだそうだ
かっこいい-
今日は友人もたくさん来ていただいて
うれしいです
あんまりお相手できなくて申し訳ないです
土曜日ともなると
遠くから来てくださる方が多くて
ほんとに恐縮です
新婚旅行の合間に来ていただいた三浦夫妻も
ありがとう
ゆっくりお話ができなくて申し訳なかったです

後藤の絵も
ほとんど売れて
あと2枚だ

8月13日

最終日
後藤の絵もほとんど売れて
よかったよかった
今日も大盛況でありました
一週間いろいろな方にお世話になりました
ありがとう
あんまり話せなかった方、ごめんね
まんべんなく気を使えずに申し訳ないです
反省しております
その反省を生かし
年一回くらいのペースで
展覧会をやりたいと思ってます
月光荘画室2はなかなか居心地のいいところでした
来年もまたここでやるのもいいし
後藤の実家の大分県臼杵市でやるのもいいかも

8月14日

努力について
たとえばチータが
俺は足は速いけれど持久力がないから
努力して持久力を付けなければ
なーんて思った瞬間
サバンナの生態系は崩れてしまいます
「嫁」という漢字が家にいる女と書き
「姑」という漢字が古い女という
女性にたいしてとても失礼な構造になっているのとのと同様
「努」は女の又(股)の力なんて・・
ということで
努力はいけません
努力は環境破壊を招きさらに自分らしさを喪失します
ということでした(笑)

最終日に友人にぼそっと
もう一度言葉と戦ってみない?
と突然言われ
何のことかもわからぬまま
忙しくて返答ができなかったのだけれど
あとで後藤にその話をすると
彼が言うには
合作は緊張感があるけれど
別々にやると緊張感がないということみたい
要するに合作は加藤後藤の戦いが
緊張感を生んでいると彼は解釈しているようだけれど
デビュー当初ならいざ知らず
後藤と戦いながら絵を描いたことはここ数年はほとんどなく
いつもお互い、戦いよりは協調、バランスばかりを考えていて
描いてきたつもりなんだけどな
(言葉と戦えというのは
多分俳句と戦えということで
もう一度というのは
今まで後藤と戦ってきたということかな?)
いまさら
「戦う」なんていう言葉は
古くさいし
戦いが何も生まないのは20世紀が証明したはず
はりつめた緊張感より
協調やバランスを考えたおおらかな絵を描いていきたい。
(おおらかさのなかにある緊張感こそ・・本当の)
人が戦うのは
他者でもなければ世界でもない
自分の中にある自己憐憫のみ
(これはヤキ・インデアンのシャーマンの言葉で、僕がいちばん好きな言葉です)

8月15日

家からいちばん近い散髪屋さんに行く。
(いつもそう)
はじめての散髪屋さんに行くのは
はじめての歯医者さんほどではないが
ちょっとどきどき。
仕事から帰ってきた妻に
イラストレーターには絶対見えないと言われたけれど
僕としては
なかなか気に入っているのでした
ちょっと角刈り系(笑)

8月16日

多分このマンションの住人の中でいちばん早起きな僕は
朝刊を取りに
毎朝マンションの階段を降りていくのだが
なぜだか
毎日階段付近に蜘蛛の巣が張ってあって
毎日からまれる
あれほど違うところに張りなさいと言い聞かせているのに
どうしてわかってくれないのであろう

人は
生まれたときから
魂に似せた形の爆弾を無意識に作り始める
その爆弾は心と呼ばれているのかもしれない
そして
それはけっこうたくさんあるんだな
さらに
いくつかは
カウントダウン中だ
でも
いくつかは解体作業中
もしくは
解体に成功したものもある
絵を描くのも
解体作業のひとつ
友人と話をするのも・・
いろいろだよね
解体作業はゆっくり丁寧にやりたい。
清原選手もひとつはずしましたね
そういう顔をしてます
(久しぶりにナイターを観ました)

ようやく
展覧会の疲労も癒えて
けっこう元気
展覧会が終わったら
ペーターゼン監督のUボートの6時間完全バージョンを観ようと
楽しみにしていたのだけれど
ちょっと仕事をしなくちゃね

そうそう
展覧会に展示した絵はすべてホームページ上に展示します
ちょっと時間がかかるかもしれませんが
気長にお待ちください

展覧会に来てくださった方と偶然街ですれ違う
あれ、今日は仕事お休み?
と訳の分からないことを言ってしまう
美大の学生さんだったよね
すまん

8月17日

まぐまぐの夏休みが終わり
今日より俳句+ドローイング、再開です
如月氏は
ああ、頭の夏休みが終わったー
と絶叫しておりました

8月18日

世間では
いろいろな食品に異物が混入したと騒いでいるけれど
別にいいじゃん
芋虫が入っていようが
ヤモリが入っていようが
それをどけて食べればいいのだ
地球はクリーンルームではない
自然の世界なのだから
いろんなものが入っていても不思議じゃない
日本はアジアのくせして
そういうところはアジア的じゃないよね
さらに
ひとつの食品に異物が混入したからといって
全部回収するのもひどい
どうせ破棄してしまうのでしょ
食べ物を粗末にするなよ

8月19日

引っ越して一月が過ぎ
近所の野良猫状況も大分把握してきた
いちおうひとり
さわれる猫さんを確保できたし

8月20日

妻の友人の絵描きさん(武闘派細密猫画家)
と妻との3人で代官山で会食というおしゃれなお昼
代官山は新しいおしゃれな施設ができたらしく(名前は忘れた)
人がいっぱい
何となく秋っぽい装いの女の子たち
風も涼しい
季節は順調に秋へと進みつつあるな

今日の夕食は
アボガドとマッシュルームのサラダと
ゴマだれの冷シャブ風サラダ
(考えてみたら両方サラダだ)
とトウモロコシの中華風スープ
(日曜日は平日より豪華(笑))
僕の住んでいるところはやけに食材が高いので
チャリを二駅ほど転がして
もっと安いスーパーでお買い物
帰りに古本屋を数件はしごするのは
いつものパターン

8月21日

妻が小説らしい小説を久々に読んだと言って
今ちょっと話題になっている本、ベルンハルト・シュリング著「朗読者」を
貸してくれた
世界的なベストセラーらしく
映画化が決定しているようだけれど
この小説の細やかな感情を映画で表現するのは難しい
と思う
この小説に流れている繊細で優雅な感情のうねりは
主人公の感情の大半が暗くちょっと鼻につくように自省的でも
なぜかとても心地よい
言葉が世界を侮辱し
言葉が人々を癒す
法律学の教授でもある著者
法律は世界を侮辱するけれど
物語は人を癒す
(法律も物語も言葉でできている)
「言葉」というものを
素直に受け入れた小説というのかな
良い小説というのは
まず
「言葉」というものを
全面的に受け入れるところから始まるのでは
と思ってしまうような小説でした
(言葉と対決してしまう小説が多いんだよね)

8月22日

ここ数日は蒸し暑くて
ちょっと夏ばて気味
今日は俳句的?には冬のレシピなのだが
大根のみそグラタンというものを作ってみる
これがなかなか美味
冬のレシピなので
夏ばて解消!という感じにはならないけれど
大根の軽さが
胃に優しい

近所の八百屋で大根を買ったら
八百屋の親父に大根のうんちくを延々聞かされ
さらに
袋に入れずにそのまま渡されたので
大根を肩に担いで帰る
大根を持つとついバットのように振ってしまう僕は
野球少年だったのさ

8月23日

今日の俳句プラスドローイングは
ちょっと気に入っているのだが
木槿の花はこんなんじゃない、と
如月氏に難癖をつけられてちょっと不愉快
いいんだよ
ちゃんと描くと構図がとれないんだよ
絵描きはいくらでも自然をねじ曲げるひどい奴(笑)

レシピにコリアンダー少々、と書いてあって
何のことか分からず
それを探しにスーパーへ
店員さんに聞いてみれば
ただの香りのいい葉っぱなのだが(三つ葉に近い)
コリアンダーが何か分からない間は
「ふっふっふっ、待っていたぞ、宇宙刑事よ
だがもう遅い、宇宙破壊計画のカウントダウンは始まっているのだ」
「貴様の思い通りにはさせないぞ、コリアンダー!」
というドラマが頭をよぎり
ほんとに訳が分からなかった(笑)

8月24日

ここ数日暑さがぶり返し
ちょっとばて気味
す巻きにされた天使が空から落ちてくるくらい暑い
というのが
今日の俳句+ドローイングの絵の意味(笑)


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