かものはし日記 8月号


8月1日

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(版画 大野隆司)

先月お知らせしたお酒のラベル展と同時期に
もうひとつグループ展があります
「もじ、モジ、文字」展
文字をテーマにしたグループ展です

8月15日(金)〜24日(日) 18日 休廊
11:00〜18:00 最終日17:00まで
ギャラリー 宇
千葉県松戸のギャラリーです

参加者は
今泉岐葉、大野隆司、加藤龍勇、黒川祥生、須崎哲朗、西田裕子、まつやまさとこ


参加者のご家族にプロの音楽家が多数おりますので
15日のオープニングパーティ(17:00から)は音楽付き大宴会になると
予想されます

よろしければ是非いらしてくださいませ

8月2日

新宿経王寺で
戦没者慰霊法要

東京大空襲の焼けた場所が地図で示され
今僕が住んでいる場所もその中に入っていました

人は、壁を作って自我を確立する生き物です
壁は当然敵を生み出します
そういう自我のあり方を変えない限り
戦争は終わらないし
頭の中の内戦状態も終わらないのかもしれません

8月3日

午後は、近所の下谷神社へ
昭和54年生まれの落語家仲間主催の落語会
お目当ては
金原亭馬吉さん
やはり彼は群を抜いてよかったです
枕で、客を笑わせてリラックスさせてから
本題に入るという手法をとらず
いきなり世界に引き込みます
そういうストイック?な感じも僕好み
いまでも十分素敵ですが
これからどこまで進化しちゃうのか
楽しみです

8月4日

高校野球

子供たちがこの炎天下
邪な大人のために無垢な少年を演じ続ける
過酷な舞台劇(笑)
(制作演出は、秘密結社高野連)
とはいえ
仕事をしながら観ていると
ついひたむきな選手に感情移入してしまい
試合が終わると何となくじーんとしちゃいます
この「じーん」は
僕の感情が豊かなわけでは決してなく
いつのまにかプログラムされた感涙プロセスに
従っているだけなのでは、と思うわけです
もっと「じーん」とすべきものが
他にあるのでは?
と思いつつ
やはり良かった
本庄ー鳴門工の9回の攻防

じーんとしちゃいました(笑)

8月5日

ノーベル賞受賞作家、ソルジェニーツィンが亡くなったのですね
「イワン・デニソビッチの一日」しか読んだことはないのですが
過酷な労働を強いられる収容所の中でさえも
美しくすばらしい一日を淡々と過ごしていく主人公に
東洋的な静謐さと人としてのありかたを
20代の頃の僕は教わったような気がしますが
ちょっと忘れてしまっているようなので
もう一度読んでみます

そして赤塚不二夫さんの死去
天才バカボンでは、バカボンのパパ率いる秘密結社、紅とかげ団が大好きでした
「本部はベイルート!」
ピストルのおまわりさんが馬鹿騒ぎをしている紅とかげ団に対峙した時の台詞
「国家権力の手中にありながら、この余裕」
など
子供心にショッキングな台詞満載で
実は今でも台詞をよく覚えています(笑)

8月6日

今月のグループ展情報を
トップページにアップしました
是非ご覧くださいませ
両方とも初日はオープニングパーティです
是非来てね

8月7日

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8月8日

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久しぶりに母と会う
「一年半ぶりに会う割には、あんまり老けてないね」
と軽くジャブ
「私は、常にかわいいし、賢い」
と母、いきなりショートフック
一瞬あっけにとられたけれど
元気そうで安心しました

8月9日

20年ほど前、小説「悪童日記」で
世界じゅうの読書家を「震撼」させたアゴタ・クリストフ
そのエッセイ集を図書館で見つけたので
懐かしくて久々に読んでみました
(文盲 2006年刊 白水社)
ありがちなナルシズムとは無縁な、淡々とした文章が彼女の持ち味で
それはエッセイ集も同じでした

誰かの小説を好きになると言うことは
たぶん
作者の持つナルシズムを好きになることだと思います

一見彼女の作品は、ナルシズムなどかけらもなく、なんの気取りもないように見えるのですが
今回久々に彼女の文章に触れてみたら
実は背後に自分のナルシズムを他人に絶対悟られないように巧妙に隠し通す
強烈なナルシズムを感じたのです

それゆえ
自分にナルシズムがあることを決して悟られたくない多くの読者に
彼女の作品は受け入れられたのだと思います
もちろん僕も(笑)

すべての人は
ナルシストです
自己陶酔の海でおぼれかかっています
そして
その海でおぼれることは結構幸せなことです
でも
もしその海を泳ぎ渡り
どこかの島にたどり着いた人たちが
その島である文明を起こしたのならば
それは
今までの文明とは全く違ったものになるでしょ
僕はそれがどういうものなのか
知りたいのです

8月10日

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deep love

来週の金曜日から始まる「もじ・モジ・文字」展に展示するイラストです
女性の体に文字を入れてみました
文字は、「愛」という字の「心」の部分を「魂」という字に置き換えた造語です。
心を魂に置き換えたことで
より深い愛を表現してみました(笑)

執着でも感傷的でもなく
さわやかに何かを、誰かを愛せるように
ちょっと冷たいくらいが僕にとってのdeep loveです

こんな感じの絵を4点展示販売いたします

8月11日

なぜかここ数日体調がすこぶるいい
よく寝るし
よく食べるし
よく走る(自転車)
あ、絵はまあまあ
問題は精神だ
体調が良すぎてちょっと不安(笑)

8月12日

若干湿度が高くて蒸し蒸しますが
ここ数日はクーラーをかけることもなく
比較的涼しい日が続いています
(体調が良いのはたぶんこのせいでしょう)

「十幻響」というプロのイラストレータさんたちが参加されている
同人誌にちょこっとイラストストーリー風な感じで描かせていただきました
メンバーは
沖田栄次・北田稔・九月姫・米田仁士・末弥純
・光里せらふ・鈴木康士・草g琢仁・一徳
・四季童子・槻城ゆう子・加藤龍勇
というSFファンタジーイラストではおなじみの方々
テーマは「怪談」です
ほとんど描いたことがないテーマなので
(怖い絵って描けないんだもん)
怪談というよりは幻想的な感じに描いてみました
今月の夏のコミケ(8月17日)に出品されます
詳しくはここで
http://tougenkyou.akashicflower.jp/

8月13日

グループ展の準備がほぼ終わって
雑誌の締め切りも終わったので
台東区リバーサイドスポーツセンターのプールに泳ぎに行く

大人用の50メートルプールは夏休みの割には空いているんだけど
メタボ対策なのか泳がずに歩いているおっさんが多くて邪魔
大人用プールなのに浮き輪の子供がいても特に注意なし
普通、水泳帽着用は義務づけられているはずなのに、誰も付けていない
やくざなにいちゃん(入れ墨をしたものすごくいい男)とその彼女が
プールの端っこでいちゃいちゃしている
「俺はスピード社の水着を着ないと本領が発揮できない」
「きゃー着て着て」
みたいな。
そんな中、北欧系のビキニねえさんが優雅に泳いでいたりして
やはり台東区はゆるくていいねえ

台東区区民プール初体験でした

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8月14日

もじ・モジ・文字展 搬入

皆さんなかなか個性的で良い展覧会になりそうです
明日は5時から
オープニング・パーティ
ライブ演奏もあります(4バンドも)
絵を観る暇はないかもしれません(笑)
よろしければ是非いらしてくださいませ

8月15日

終戦記念日

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step across the border  (すべてのナショナリズムの、すべての先入観の境界線を越えろ!)

かものはし亡命政府 政府公報 

今日のオープニングパーティは
とても素敵でした
4つのバンドの演奏もすばらしい
うっとりしちゃった

いつも名古屋から来てくださるOさん
ありがとうね〜
とてもうれしかったです

8月16日

スイカ深追いせず、の法則

スイカって
それほどうまいものじゃないよなという気分のまま
夏が終わるのは
真ん中の赤くて甘い部分だけ食べてやめればいいのに
つい貧乏性のせいか
深追いして
皮に近い緑色の部分まで食べてしまい
結局キュウリみたいでまずかったという印象が
残ってしまうからですね

今年は深追いしません(笑)

8月17日

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ラベル展搬入
百鬼夜行ビールのおまけに付く
妖怪辞典も出来上がりました

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谷中あずき堂制作

搬入後は飲み会
ちょっと飲み過ぎました

明日からラベル展です
17人の作家のラベルはいろいろな工夫が凝らされ、圧巻です
文字展同様是非いらしてくださいませ

8月18日

ラベル展初日
とても盛況でした
来てくださった皆様
いつもありがとうございます

恐縮です

オープニング・パーティも楽しかったです
(呑みすぎて、さらに食べ過ぎたような気がします(笑)
普段なかなか会わないような人たち
(絵描き同士でも若干業界ごとに棲み分けされているので)
をうまくシャッフルさせてしまうギャラリー・オーナーの企画力

さすがです

みんな酔っ払っている割には
会場内に100本以上林立するワインやビールのボトルを
だれも倒して割ったりしませんでした

さすがです

8月19日

百鬼夜行ビールが売り切れてしまったので
金曜日に追加制作いたします
よろしくお願いします

そういえば
夏の日差しも少しずつ弱まりつつあるようです
ちょっと涼しい

もう秋ですか

8月20日

百鬼夜行ビール
なんとか木曜日にはできそうです

ラベル展が今日の朝日新聞の朝刊で
紹介されました
個性的なビールばかりなので
是非足を運んでくださるとうれしいです

8月21日

涼しくなってきました
クーラーを止めて、窓を開けて寝る方が多くなったようです
僕は、朝は5時くらいから起きているのですが
6時くらいになると
あちこちからいろいろなメロディの目覚まし時計の音が聞こえてきます

これも初秋の風情でしょうね

百鬼夜行ビール追加しました
カナディアン・ピルスナーという地ビールに加えて
エスプレッソという地ビールも加えてみました
あとワインも一本追加

8月22日

動物や植物たちは
自分のために生きているのだけど
それが世界のためにもなるわけです
でも
人間は自分のために生きてると
それが世界のためにならない

なぜなんでしょ
ほんとに自分のために生きてないからでしょうか
他人の目に映る自分を生きているからかもしれません

しなくちゃならないとか
努力とか
そういう葛藤はたぶん他人目線を気にして生まれてくる衝動だと思います
そういうものとは無縁に
本当にやりたいことをやれば
実は世界はもっとスムーズにまわるような気がします

8月23日

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Distances/Norma Winstone Trio

最近すっかり涼しくなってしまい
プールにも行けなくなりました
夏が失速気味です
もうちょっと夏にがんばってほしいです
ということで
来るべき秋に備えての一枚

彼女は、イギリスのジャズボーカリストですが
ボーカルというよりはボイスに近い雰囲気です
声を歌として何かを伝えると言うよりは
楽器として伝えていくという感じでしょうか
ボイスものではazumithというアルバムがすばらしいのですが
今回はボーカルもの
ピーター・ガブリエルの名曲 here comes the floodを
優しくしなやかに歌っております

8月24日

グループ展、ふたつとも無事終わりました
いらしてくださった皆様
とても感謝です

ありがとうございました

ダークナイト観ました
バットマンというファンタジー世界とは無縁の
ハードな犯罪映画に仕上がっていました
悪役ジョーカーの善良な市民への「悪とはなんでしょう?」という
問いかけ式犯罪行為は
善良な人々の正義の中に潜む悪意を徐々に引き出していきます
(愛の中にある執着も)
この映画の舞台となる架空の都市
ゴッサム・シティは
正義と悪の葛藤の中にあり
それは現実の僕らの世界の投影ですが
現実はいつか
善と悪の対立をやめることができるのでしょうか

善と悪という対立の
根源にあるものは
愛ではなく、プライドです
プライドは、いままでずっと人々の自我を守ってきた古くさい防具です
それはバットマンのハイテクプロテクターとして象徴的に描かれていますが
その古くさい防具を捨て
新しい防具を生み出すのか
防具はもう不必要なのか
今後のバットマンにも
今後の現実世界にも
期待します
(僕も密かに自分なりの答えを探して
絵にしたいと思っています)

8月25日

あんたは、世界でいちばん冷たい男


彼女や妻にこの台詞を言われたことのない男はあまりいないと思います
この世の半分は
冷たい男でできているかもしれません
それほど世界は深刻なのです(笑)
ポニョもきっと宗介にそういう台詞を言う日が来るでしょう
「崖の上のポニョ」のラストシーンの後
いわゆる後日談ですが
この物語の登場人物たちはこの後いったいどうやって生きていくのでしょうか
おとなはそっちが知りたい
(ごめんね、夢がなくて・・)

8月26日

ギャラリーMalleにて
国武 将さんの個展のオープニングパーティ
竹久夢二を彷彿するような
自由な線で描かれた女性の絵は
妙に危うい

今日は
飲み過ぎと言うより
食べ過ぎたような気がします
連日の宴会でちょっと疲れました
明日よりしばらく
引きこもります・・

8月27日

納豆チャーハンに炒めたセロリのみじん切りを入れると
おいしいのではと思って
冷蔵庫を開けたら
セロリは腐ってました
最近出かけていたので
冷蔵庫の中はほぼ全滅

この中で
腐らず瑞々しい野菜がひとつ
(きゃべつ)
それはそれで怖い(笑)
(ま、でも食べるけど)

8月28日

はっきりしない日が続き
洗濯物がたまります
ちょっとの晴れ間を狙って洗濯して干したものも
取り込むのを忘れて再びぬれてしまいます
うーむ

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8月29日

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everything that happens will happen today /brian eno & david byrne

my life in the bush of ghosts 以来27年ぶりの
ブライアン・イーノとデヴィッド・バーンとのコラボレーション
イーノが書きためたインスト曲にバーンが歌を付けたそうです
かわいいハッピーポップサウンドに仕上がっております

起こることのすべては、今日起こる

イーノらしい素敵なタイトルです

ちなみに購入方法はオフィシャルサイトでの
ダウンロード販売とCD通販のみのようです

8月30日

不安定な天気の中、観に行きました
浅草サンバカーニバル

相変わらず
半裸のおねーさん狙いの
カメラおじさんたちがいっぱい
最近のデジカメは
液晶モニタが大きいので
となりのおじさんが
おねーさんのおしりにズームしているのが
わかっちゃうところが恥ずかしい(笑)
(カメラ越しでおしりを見るより
生の目で見た方がいいのでは?
確かに生の目にズーム機能はないのは残念なのですが)

モデルのようなプロポーションの女性もたくさんいましたが
胸もおしりも下腹部も
踊ると波打つくらいぽっちゃりした女性の方が
サンバのリズムに合いますね

8月31日

東京駅の大丸で写真展を見たり
お昼に沖縄料理を食べ過ぎたり
無機質な現代建築の間にひっそりと立つ
赤煉瓦の東京駅を遠くからながめたり
昭和9年に建てられた明治生命館の中のカフェでぼーっとしたり
日比谷公園の高鉄棒にぶら下がって
逆上がりも蹴上がりもできず
呆然としたり
(高校生の時はできたのに)
日比谷公園のカフェで飲んだ
ものすごく辛いジンジャーエールがおいしかったり

だらだらとした一日を過ごしました