かものはし日記 2009年 1月号


1月1日

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします

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lester bowie / the great pretender

アート・アンサンブル・オブ・シカゴのリーダー
レスター・ボウイのECM初ソロアルバム
1981年の録音です
サッチモに通じる優しく深みのあるトランペット
こんなに優しい音楽が30年も前に生まれたのに
世界は依然として優しくないのはなぜだ
と思ってしまうくらいすばらしい
特に一曲目
16分54秒の至福
完璧なジャズです
フリージャズですが、そういうことはどうでもいい
完璧な音楽
そしてサッチモのように泣けます
(年末観たルーキーズのせいか、涙腺が弱くなってます(笑)
新年にふさわしい一枚

1月2日

最近のお気に入りお笑いタレントは
「我が家」です
コントもいいんですが
3人の立ち位置がくるくると交代する漫才が画期的です

今年もいろいろありそうですが
つらいことは全部笑いに持って行きたいですね
昔のつらいことも
今思えば笑い話
と、よく言われておりますが
今つらいことは
今笑えばいいじゃん
ということです

へらへらと生きる

今年のテーマです、えへへっ

1月3日

今年も引き続き
何事も躊躇することなく
自分の中の衝動に素直に従って
行動したい
と思います

いろいろ考え込んで
物事を整理したり
プライオリティに従って選択したりしない
人生を編集作業にしないこと

編集作業は、船に乗るようなもので
ある程度は安全ですが
無常の海の中では、いつ何時波に呑みこまれるかわかりません
それならば
船に乗らず、ずっと泳いでいたい
衝動に従うとは
無常の海の中で、魚になるということだと思います

1月4日

そう今年は丑年です

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atom heart mother「原子心母」 / pink floyd

言わずとしれたピンクフロイドの名盤のひとつ
このあたりは義務教育ならぬ義務ロックです
必ず聞かねばなりません
邦題を「原子心母」とした日本のプロデューサもすばらしい
原子と心と母
なにか量子力学的優しさを感じます(意味不明(笑)
とても21世紀的なタイトルです

1月5日

小寒です

ちょっと風邪をひきました
風邪の時は、足湯がいいですよ
寝る前に
足だけお風呂で暖めてると
一気に熱が出て汗を掻き
翌朝すっきり目が覚めます
お試しください

風邪は
いろいろな思いをため込んで
緊張した身体をほぐす
自然からの贈り物です
風邪が治ると
体がすっきり軽くなるのは
そういうこと

くわしくは、こちら。名著です
風邪の効用 ちくま書房

1月6日

風邪をひくと
おなかに力が入らなくなります
おなかにぽっかり空洞が出来て
歩くと空洞に響いて痛かったりして
弱ると
普段は気付かないこと
人の身体はいかにおなか(丹田)を中心に
なりたっているか、とか
いろいろなことに気付かされます
強いことは
ある種の鈍感さであり
弱さは
ある種の敏感さです

両方を兼ね備えているのは
竹のような「しなやかさ」。
なかなかこういう身体性なり精神性には
なれませんね
うむむ

1月7日

絵を描いていると
なんか物足りないけど
描き足すところも思いつかない、という
もやもやした感覚にとらわれることが多々あります
その物足りなさに耐えられず
つい描き足してしまい失敗なんていうことも
少なくないのです

「蛇足」という言葉があります
つい蛇に足を描き足してしまうと言う話
よけいなことをするたとえですが
蛇に足って
造形的には面白いとおもうんですよね
(子供の頃、授業中にそう思いました)
よけいなことをするのって、楽しいでしょ
その辺が悩みの種(笑)

1月8日

楽しくやる
というのは
ただ楽しいということではなく
その背後に大きな苦しみが伴ってこそなんだな
と、再確認
苦しむ力が大事です
苦しみを楽しむ力こそ生命力

最近苦しみから逃げ腰で
安易な「楽」を求めすぎました
気合いを入れ直します

明日から
グループ展です
よろしければ是非いらしてくださいませ

1月9日

グループ展初日です
冷たい雨なのに
いらしてくださった皆様
ありがとうございます

一つ修正です
トップページのグループ展の会期
18日(土)となっていましたが18日(日)の誤りです
すいませんです 

風邪で弱っていた体も
お酒のおかげで
だんだん元気になってまいりました(笑)

1月10日

同業の友人たちと男だけの宴
男だけで話していると
あまり言葉を選ばなくて良いので
前頭葉の負荷が少ないようです(笑)

1月11日

空元気
という言葉が好きです
うわべだけ元気というのが本来の意味のようですが
元気に「空」という字がくっついているところが
気に入っています
そもそも元気は
理由のない、何もないところから生まれてくるわけですから

理由のある元気こそ
うわべだけの元気です
意味もなく元気でいましょう

1月12日

神保町、水道橋と軽くポタリング
不景気なのかな〜
街全体がどんよりしていて
なんだかとても疲れました
元気出しましょうね〜
未来なんてどうなるかわからないんですから
過去と未来は幻想です
占いなんて当てになりません
(たまにあたったりするけど(笑)

よりどころになるものが何もないけど
なんとなく大丈夫な気がする

そういう気持が大事です

1月13日

自転車で、ギャラリーMalleへ
風邪をひいていたこともあって
久々の長距離ポタリング
ちょっと疲れました
冬場は、寒いからといって厚着をすると
すぐ汗を掻いて冷えてしまうので
重ね着の仕方がむずかしいのです

今日もいらしてくださった皆様
ありがとうございます
時間が合わずお会いできなかった方
すいませんでした

1月14日

夕刻
自転車で
ギャラリーからの帰り道
ライトアップされた東京タワーを眺めるのが
ちょっとした楽しみです
オレンジ色の輝きが
絶妙の曲線を描きながら天へと伸びていく
うっとりです

今日もいらしてくださった皆様
パウル・クレーのラベルのお酒
鳩サブレー
手作り消しゴムスタンプステッカー
などなど
ありがとうございます
いつもながら恐縮です

1月15日

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というファックスをギャラリーに送って
今日は家でおとなしくしてました
去年「腰痛は怒りである。」と言う本を読んで以来
腰の調子がよくないのです
俺は何に怒っているんだ
ぷんぷん
(たぶん不用意にこの本を読んでしまった自分に怒っているのでしょう(笑)

1月16日

今日もたくさんの方がいらしてくださって
とてもとても感謝です
ありがとうございます

今日は、帰りの自転車が
やけに気持ちよくて
そのままどこかに行きたい気分でした
ようやく
風邪から復帰して、身体も本調子になってきたようです

 

僕の思想的柱(というとおおげさですが)は
カスタネダの本に出てくるヤキ・インディアンのシャーマン、ドンファン

天才整体師、野口晴哉
そして、インドの哲学者でもあり詩人でもある
クリシュナムルティ
の三人です。
アプローチの仕方は微妙に違いますが
三人とも言っていることはほぼ同じ
「子供たちとの対話」という本の中で
クリシュナムルティは愛についてこういうふうに語っています

君は何かを愛していますか。
愛するとはどんなことか、知っていますか。
君自身のすべてをもって何かを完全に愛しているとき、
その愛は感傷的ではないし、
それは義務ではないし、
肉体的だとか神聖だとかに分割されません。
君たちは君自身のすべてをもって誰かを、何かを、親や友だちや犬や樹を愛していますか。
どうでしょう。
愛していないと思います。
それで、君たちは自分の中に醜さ、憎しみ、妬みのある巨大な空間を抱えているわけです。
愛している人には、他には何の余地もないでしょう。
私たちは本当に時間をかけて、
このすべてを話し合い、
私たちの心をひどく乱してそのために愛せなくしているものをどうやって除くのか、
見出すべきなのです。
というのは、
自由で幸せになれるのは、愛しているときだけですから。
新しい世界を創造できるのは、
政治家ではなく、
改革者や
思想上のわずかな聖人君子ではありません。
愛していて、元気で、幸せな人たちだけなのです。

この文章を読むと
ああ、俺は何も愛していないな〜って
思うのです。
ただ世界を愛しているふりをしているだけで
絵を描いているな〜ってね
どうしましょ(笑)
愛のある自由な人がいっぱい増えて
世界が新たに変わっていったらすばらしいけれど
その中に僕がいるかどうかは
大きな疑問(笑)

1月17日

友人たちとの宴の席で
おでんの話になったのですが
ちくわぶの地位があまりに低いので
びっくりしました
おでんには
ちくわぶでしょ
一番大事な食材でしょ!(怒)
ちくわぶ、卵、大根、その他の練りもの
という順位ですな(笑)

1月18日

10日間のグループ展も本日無事終了しました
いらしてくださった皆様
ありがとうございました
(いつもいつも遠くから来てくださるOK保さんありがとう〜)

次は、5月に個展があります
おやゆび猫の豆本も4冊目を出します
どうぞまた遊びに来てください

1月19日

デザイナー(おもちゃやお菓子のデザイン)のHさんと
地元でお蕎麦を食べながら
いろいろお話をしました。

今の時代は
おれがおれが、というのではなく
クリエイター同士が助け合ってやっていくことが大事だということ
(それはすべてのことに言えることですが)

彼は今そういうシステム作りをしています
僕も何とか力になりたいと思っています

1月20日

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アルパカの行進

去年,テレビで見たこの動物の名前を
ようやく思い出しました
(アルなんとか〜、までしか思い出せなかった)
スタンダードの顔がどれだかわからないほど
皆個性的なお顔です

かわいいですね〜

今日、愛車BD-1で出かけようとしたら
チェーンが訳のわからない外れ方をしていて
壊れていました
打ち合わせの時間に遅れそうになって
ちょっと焦りましたが
アルパカの写真を見て気持ちを落ち着けました(笑)

1月21日

後藤の誕生日です
早朝電話をかけて、おめでとうをいいました
お互い着々と歳を重ねていきますな
老眼も40肩も経験中だそうです

おたがい
頑張って絵を描き続けていきましょう

1月22日

電車の中で
犬と見つめ合いました
地下鉄の中で、飼い主のバックの中から
ちょこっと顔を出している犬と目が合いました
ずっとこっちを見ているので
こっちも視線を外せずに
一駅ほど見つめ合っていました
電車の中で
おとなしくちょこんとしているわんちゃんというのは
なかなか絵になります
(猫だとこうはいかない)

1月23日

腰痛の原因が何となくわかりました
左の腎臓の冷えによるものかもしれません
ホカロンで
背中の腎臓がある部分を温めると腰痛が軽減されます
腎臓は恐怖心に反応する臓器だと言われてます
何かに対する恐怖心が
僕にあるのでしょう
それを具体的に特定し
受け入れられたとき
腰痛は治るのかもしれません

1月24日

今日から公開される映画「誰も守ってくれない」のスペシャルテレビドラマ
「誰も守れない」を見ました
映画で起きる事件の4ヶ月前という設定です
両方とも君塚脚本
地味でしたが君塚脚本らしく緻密で丁寧な作品でした
松田龍平さんも良い役者になりましたね
声がお父さんの松田勇作さんにそっくりです

君塚さんの作品は、常に人と人とのつながりがテーマです
人の話を自分のことのように聞く
こんな時代ですから
些細なことですけど一番大切なことです
世間という大きいけれど現実感のない流れとささやかだけれどリアルな関係性がうみだすうねりが
丁寧に綴られていました
映画も観たい

1月25日

向島の工房&ギャラリー「鳩の目」に
豆本を納めに行って参りました
イラストレータの長縄キヌエさんと皮職人の大平和宏さんとの
お二人の工房
向島の商店街に戦前からあるアパートを
リフォームしたそうです
静かで品の良い工房でした

うん、ちょっとうらやましい
工房っていいな〜

1月26日

ええ?、ビル・ブラッフォード引退?
というニュースが飛び込んできましたが
引退するのは
ライブ活動のみでスタジオ録音は継続するそうです
ライブ活動の引退は残念ですけど
ちょっと安心しました

還暦を区切りなんかにしないで
これからもばしばしドラムをたたいてください
お願いします

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double sunrise over neptune / william parker

フリージャズベーシストの重鎮、ウイリアム・パーカーの
オーケストラ形式でのフリー・ジャズ
ハミッド・ドレイクとジェラルド・クリーヴァーのツインドラム
パーカーのベースラインにしびれていると
マントラのような女性ボーカルがからんできます

コスミックな演奏を思わせるジャケット絵ですが
音的には
ツインドラムとパーカーのベースという
重厚なリズムセクション故
大地のエネルギーをむらむらと感じさせる
腰の入ったジャズです

1月27日

今月はめずらしく出かけることが多く
それもほとんど自転車で出かけるので
おしりの形が、サドルの形に特化しつつあるようです
その証拠に
椅子に座って、いざ仕事をしようとすると
どうにも居心地が悪い(笑I

1月28日

打ち合わせ
ようやく笙奏者の伊藤江里さんのCDジャケット絵の
作画に入れそうです
「きぼうのいえ・めもりある」というタイトルの竽(う)をフューチャーしたアルバムです
売り上げの半分は
きぼうのいえ」に寄付されるというボランティアでもあります
中身はとても素敵に仕上がっていて
笙よりかなり大きい竽(う)という楽器を宮内庁から借りてきて演奏したそうです
(日本に数台しかないらしい)
聞き込めば聞き込むほどに気持ちよくなる竽の倍音に
高橋全さんのピアノと江原啓之さんの朗読がからみます

・・・
あなたの中の最善のものを世に与えなさい けりかえされるかもしれません
でも気にすることなく最善のものを与え続けなさい
最後に振り返るとあなたにもわかるはず、結局はすべてあなたとあなたの内なる神との間のことなのです
あなたと他の人の間に起こったことは何もなかったのです

マザー・テレサの「あなたの中の最善のものを」という文章を
江原さんが朗読したのですが
この最後2行にぐっときました
結局は、世界は自分の内面で起こっていることの反映なのですね
遠く離れた異国での戦争も
自分の内面で起こっていることと同値なのですね

1月29日

久々に家でゆっくり
昨日頂いたサンプルCDを聞きながらお絵かき
笙、竽って
不思議な楽器です
イオンというか、音のつぶつぶが空中で何かに反応して
はじけているような感覚
そして
なぜかタルコフスキーの映画を思わせます

1月30日

うむむ・・

1月31日

川田くんという若い友人(23歳)の初の個展へ
広い会場に
個展2回分くらいの作品がずらっと並ぶ
すごいパワーです
えらい!
見習います

みたぽんのギターも良かったよ
この人のギターもタルコフスキー系

そうそう
相変わらず
男物のコートを颯爽と着こなす
Nさんのファッションもすばらしかった
おじいちゃんの形見のコートだそうで
おしゃれとは、こういうものですね。
こーゆうさりげないところが
絵の参考にもなるんだよ
川田くん
(偉そうな、俺(笑)