かものはし日記 2010年2月号


2月1日

カウンターポイント

bojan Z / koreni

ボヤン・ズルフィカルバシチという難しい名前のピアニスト
フランス在住
自身のルーツであるバルカン音楽を取り入れたアグレッシブなジャズ

対位法(カウンターポイント)
という音楽理論があります
2声部以上の旋律がそれぞれの美しさを保ちなが ら
同時に鳴り響いてもバランスがとれている状態を
作り出す技術だそうです

ジャズが越境するとき
異文化の音楽のいいとこ取りみたいなことをするのではなく
お互いが尊重しあい美しく響きあうポイントを模索する
このアルバムは
そんな姿勢がとてもうまくいっていると思います

2月2日

仏教のフレキシビリティ

3月のお寺での個展のチラシに
開催期間中の休日の間違いが見つかり
ご住職に相談したら
じゃあ、間違えちゃったそっちを休みにしましょう
ということに(笑)

よかった
全部手作業で修正しなくちゃいけないところでした
さすが仏教
融通が効きますね

2月3日

なんくるないさー

テレビでよく紹介されていた
今時子どもが10人もいる大家族の家が全焼したそうです
お母さんもお父さんも
焼け出されて危機的状況なのに
笑顔でコメント

みんな生きているし
なんとかなるでしょ

自分が愛しているものがなんであるか、ぶれのない人のコメントはすごいですね
したたかさとは違う生命力

「プライド」という
愛とはまったく無縁なハードルを上げ下げしながら生きているわれわれって
けっこう辛いです
プライドのハードルを下げるか、取っ払うかすれば
人生はたいていなんとかなるのに
それでいいんだけど
愛がないのでむずかしい

2月4日

男の涙

朝青龍の涙を
ワンセグの小さい画面で観ました
海外の一流アスリートはみなさんよく泣きます
サッカーのドイツ大会では
男泣きする様子がよく見られました
代表を外されたロマーリオも
ドイツ大会で怪我で途中交代したベッカムも
みんな自分のふがいなさにしくしくと泣いていました
「めめしい」という言葉は
「女々しい」と書きますが
ほんとは「男々しい」が正しいような気がします
男の方が女性よりずっとめめしい
日本は武士道が根底にあるせいか
男は人前で泣いちゃいかん、という雰囲気があります
カズも代表を外されたとき泣かずに
毅然な態度でインタビューに応じていました

泣けばいいのに

日本には
男のめめしさを表現する場所がないのです
唯一許されているのが
酔っ払うことだけ
だから朝青龍はよっぱらって
人を殴っちゃったんじゃん
生きにくい国だよ、まったく

2月5日

品格

朝青龍は下品ではなかったと思います
ガッツポーズはするし
まげをつかんで投げるし
不必要なとどめもさすし
よっぱらって殴ったりはするけれど
下品ではなかった
強くてかわいいにーちゃんです
かわいいっていうのは大事
「かわいさ」というのは作為のない「らしさ」ですから
下品さって作為でしょ

このぐらいの人を
うまくコントロールすることができない日本の社会自体に
品格がないような気がします
角界しかり
マスコミしかり
世論しかり
なんか、つまらん

タイガーウッズはもう復帰するみたいだそ(笑)

2月6日

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今日は
自転車の後輪をはずして
チューブの交換
ブレーキの調整などをしました

この本があれば
自転車のたいていのトラブルは解決できます
器用な人なら
この本一冊で自転車屋さんになれちゃうくらいすばらしい本です
(ちょっと大げさ)

パソコンであれ
自転車であれ
自分が大事にしているメカは
出来る限り自分で直す
特に自転車は
自分で直すことによって
その機構の美しさを堪能できます
君はなんて素敵なんだ
そこに「絆」が生まれるのです(笑)

2月7日

イメチェン

メガネを新調しました
アニエスのグレーのプラスチックフレーム
どこぞのインチキくさいデザイナー風になりましたね(笑)

メガネは安くなりました
昔は5,6万はかかりましたが
今は超圧縮レンズも込みで2万円以下
レンズのはめ込みも25分で出来ちゃう
デフレですか?
あんまり安いんで
上野の屋台で呑んで帰ってきました

メガネの度を少し上げたので
よく見えます
夜、無灯火で突然暗がりから出てくる自転車などは
ある意味「カン」で対応していましたが
これからは
そういう緊張感もなくなるかも
それは、いいことなのかな?

2月8日

長い一日

最近は、夜の10時に寝ても
朝方2時とか3時にすっきり目が覚めてしまいます
(睡眠が深いのかな、歳なのかな(笑)
やりてのビジネスマンなら
余った時間を有効に使って
一日を有意義に過ごすのでしょうが
ずぼらなわたしは
絵を描いて
自転車に乗って
ちょこっと本を読んだり
・・・
その後することがなくて
時間をもてあましてます
一日に集中出来る時間というのは
そんなにないのです
だらだら絵を描いていると必ず失敗します
あ、そうか
テレビがないから
時間が余るのか
しょうがない
地デジを買うか(笑)

2月9日

デビュー当時からお世話になっているというより
デビューのきっかけになった方から
ロボットのデザインのお仕事
コンペ形式なので
採用されるかわかりませんが
オタクなお仕事(女の子が乗る小型ロボット)は久しぶり
とてもうれしい!

2月10日

何が描いてあるかなんて
ほんとはどうでもいいのだ

友人のクニタケショウくんの参加するグループ展の
オープニング・パーティに参加
彼の絵は相変わらず危ういバランス感覚がすばらしい
(仕事をサボって来てよかった)
一枚絵というのは
なにが描いてあるからどーのこーのというのではなく
全体のバランス感覚に
うっとりするのが
一番原初的で正しい観賞方法だと思います

バランスが気持ちが良い
これに尽きますね

いまだ発見されていないバランス・ポイント
これを見つけるのが
絵を描く醍醐味かも知れません

2月11日

活躍

プレッシャーに弱い日本人に限って言えば
期待されている人が期待通りの活躍をする確率と
まったくノーマークの人が、一躍時の人になる確率は
ほぼ同じような気がします
冬季五輪、サッカーワールドカップ、プロ野球
応援してますよ
ワンセグのちっちゃい画面で(笑)

2月12日

いただき物

めんつゆで食べるざるラーメン
ちゃぶ屋という有名なラーメン屋さんの麺らしい
国産小麦を使ったこだわりの麺を
大根おろしなどを入れためんつゆで食す
とてもヘルシー
(ヘルシーなラーメンってどうなの?)

ラーメンとめんつゆという取り合わせは
若干微妙だけど
鍋の締めに入れたりするとおいしいだろうな〜
のどごしはすばらしい

2月13日

ポケットの中の小銭が冷たい

温暖化温暖化と騒いでいる割には
今年の冬は
冬らしい冬です
コートを着て、白い息を吐きながら
「今日も寒いな〜」と言える幸せ
季節には
こういう雰囲気が大事なのです

2月14日

どうでもいい

サッカー日本代表
良い感じでぐだぐだになってきましたね
精神科医が言うには、
こだわり、プライド、被害者意識
この3つがそろうと統合失調症になるそうです
日本代表は、まさにこんな感じ
落ちるところまで落ちたのだから
あとはもう「どうでもいい」という気分で
ワールドカップに臨んで欲しいです
「どうでもいい」は素敵な呪文です
ある意味仏教的です
そしてある意味
妄想が排除されたとても現実的な状態です

2月15日

逃避と愛

個展用に描いている絵を
この先どうしてあげればいいのかわからなくなってきたので
今日は逃避をすることにしました
雨の中
上野のサイクルショップに出かけていって
ギヤの洗浄剤とタイヤとグリップとサドルを買ってきて
愛車BD-1のお掃除&イメチェンを図ることにしました
自転車をいくつかにばらしてお風呂場に持ち込んで
水洗い
ギヤは専用のスプレー式洗浄剤でぴかぴかに
その後、主要部分に油を差し
接地面が少ない細めのタイヤをはかせ
(地面との摩擦が少なくなり早く走れる)
バーエンドのついたかっこいいグリップを着せ
ロード用の30センチもあるこれまたかっこいいサドルに着せ替え
(30センチもあるので様々なポジションがとれる)
まるで新車のようにきれいに、さらにかっこよくなりました
(もう買って6年も経つのだけど)
あーまた愛が深まるなあ(笑)

だいぶすっきりしたので
お絵かきに戻ります

2月16日

人間と機械の違いは
自分の中に矛盾を取り込めるか、込めないかです
矛盾を内包できるということは
人間として生きる醍醐味なのです
矛盾をいかに「なあなあに」l取り込んでいくか
そのなあなあさが人の
バランス感覚であり
魅力なのです

物事は、正しい正しくないより
なあなあさの魅力で判断した方が良いような気がします

政治も朝青龍も国母もね(笑)

2月17日

褒め合う日

国会は
けなしあうことばかりしていないで
たまに相手のいいところを褒め合う日をもうけてはいかがでしょう
自民党はこういうところがいい
民主党はここが素敵じゃないか
とか
けなすのは
簡単ですが
ほめるのは
結構難しいのです
相手をよく研究しないとできない
日本人って子どもの時からあんまりほめられた経験がないんですよね
ほめられないので
愚痴が多い
嫉妬と憎悪が深い
それゆえ
マスコミはこの3つの感情を基調として
現実(ほんとは幻想)というものを演出しているような気がします
あと
なんだかわからないけれどすごそうなものは
褒めましょう
国母のことです(笑)

2月18日

褒めること

クリエイティブとは
世界を褒めることだと思います
この世界は「無常」ですが
人の一生の80年くらいではほとんど変わりません
この変わらない世界の中で
世界を褒めて生きるか
けなして(批判して)生きるか

絵を描いていて楽しいとき
人と話していて楽しいとき
ああ、僕はこの世界を褒めているんだな
そう思いました

2月19日

藤田まことさん死去

中村主水役はもちろんですが
剣客商売の秋山小兵衛役が好きでした
無外流の達人で
楽隠居しているじいさんのくせに40歳も年下の女性と再婚し
近所に出来の良い息子夫婦が住んでいて
美人女将がいる料亭に通い
殿様に寵愛を受けている老中とも仲が良く
御用聞きの弥七を使って探偵ごっこ
たまにストレス解消というか運動不足解消のように悪を切る!みたいな
実に都合の良い男の夢のようなくだらん設定を
いやみなく素敵に演じられるのは藤田まことさんだけでしょう
あーまた観たいな〜

2月20日

アヴェマリアをヘビーローテーション

個展まで一ヶ月を切り
切羽詰まった気分をもりあげてくれるのは
やはり音楽
なぜかアヴェマリア
先月
友人に教えてもらったKOKIAさんの歌うアヴェマリアを聴いて以来
はまっております
それも
シューベルトの優しい感じのアヴェマリアではなく
カッチーニのアヴェマリア
こちらの方が切実な感じ切羽詰まった感じで
今の自分の気分にぴったり
カッチーニのアヴェマリアを歌っている人は
それほど多くないようで
youtubeなどで検索して聞き比べています
一説によると
この曲の作者はカッチーニではなく
ソ連のなんとかという音楽家が1970年に作曲したようです
明らかにバロック音楽とは
違う雰囲気
とても現代音楽的です

切羽詰まった気分を癒してくれなくていいんです
切羽詰まった気分を楽しめることが大事

2月21日

軌道エレベータ幻想

ひさびさに
建築中の東京スカイツリーを観てきました
(業平橋付近は見物人でいっぱい)
現在303メートル
もし現実に軌道エレベータができたらこんな感じ?というくらいの迫力
カーボンナノチューブの開発によって
俄然現実味を帯びてきた軌道エレベータ
もっとも重力と遠心力による張力の関係上
最初に出来るのは赤道上でしょうけれど。
今の墨田区あたりを自転車散歩していると
下町にそびえ立つ軌道エレベータという
レトロSF的風景を満喫できます
東京天空樹と呼びたい

しかし
何となく傾いているように見えるのは
塔のフレーム構造による錯覚?
ちょっと心配(笑)

2月22日

ランドマーク

午後
自転車の防犯登録をしに
葛飾区のお花茶屋へ
(自転車を買って6年も経つのに防犯登録をしていませんでした)
お花茶屋には
サイクルハウスしぶやという折りたたみ小経車で有名な専門店があるのです
ついでにBD-1のリアサスペンションをしぶやのオリジナルスプリングに新調しました
東京もこのあたりにくると高いビルもなく
広々として気持ちが良いです
駅前は駐輪場がしっかり完備しているせいか
放置自転車もなくすっきりしています
ちょっとした自転車道のようなものもあって
走っていて楽しい
帰りは適当に面白そうな路地をうろうろしながら帰りました
スカイツリーのおかげで
この辺りはどう走っても
最終的にはスカイツリーを目指して走れば
家にたどり着けるのです
地図を広げる必要がありません
目的地を決めず
適当に走るのが好きな僕にとっては
便利になりました

2月23日

もう春になっちゃうの?

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sinikka langeland / maria's song

シニッカ・ランゲラは
北欧の民族楽器カンテレ(琴みたいな楽器)の奏者でシンガー
北欧の民族音楽とバッハの融合というコンセプト
彼女の曲とバッハの曲が交互に入っています
後半
融合した曲もあり
民族音楽とバッハとの様々な距離感というかバランスポイントを楽しめる構成なのかな
曲調はクラシックですが
広い意味ではジャズですね

暖かくなって参りました
花粉も飛んでるんでしょうねぇ

えーもう春になっちゃうの?
とがっかりしている人には
お勧めなアルバムです
(少しはいるでしょ、そういう人も(笑)
北欧の冷たくて澄んだ空気を耳で感じて
去りゆく冬を偲びましょ

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シニッカさんとカンテレ

2月24日

文章でも詩でもない音楽評というもの

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edward simon / unicity

とあるCDショップサイトにこのアルバムの音楽評が載っていて
その一部を勝手に抜粋してみました
(ごめんね)

「思索性を匂わせつつ起伏の烈しい立体力学的躍動フレージングを
結構クール&スマートに余裕でキメて見せる」

この訳のわからない文章が素敵でしょ

音楽評って結構こんな感じのが多い
そもそも立体力学って何?
ググってもそういう力学のジャンルはないようだし・・
ようするに
音楽というものを文章化するのは難しいんです
(というか無理!)
こういう文章を読んで
訳がわからないとか
何も伝わってこないといって
無下に否定したり怒ったりしてはいけません
こーゆう訳のわからない単語の羅列から
どんな音楽かを想像できなければ
立派なジャズオタクにはなれません
この文章を書いた奴は
やな奴でしょうね〜
会ってみたいな〜

この「立体」のところを「流体」に置き換えた方が
つじつまが合うような?

あ、俺もやな奴かも(笑)

2月25日

草食系

女の子が草食系の彼氏を
あの手この手でその気にさせるという
官能小説のゲラを読んでいると
(ゲラというのは、挿絵を描くための小説の仮刷り)
ピンポンと呼び鈴が鳴りました
「はいはい」とインターホンに出てみると
若い男性の声で
「私は、○○不動産のもので
今度近くにマンションが出来たのですが
興味ないですよね
すいません
ありがとうございました」
って
何も返事をしないうちに勝手に帰っていくなよ
草食系営業?
草食系もここまでくると
恋愛だけじゃなく
日本経済にも影響が出てくるような気がします
工業製品の国際競争力も落ちる一方だし
実際出ているのかな

これからは農業かもしれません
日本の農作物は
品質がよいし
今世界的に日本食ブーム
引く手あまた
(営業する必要ないでしょ)
そしてまさしく草食系(笑)

僕も
キノコとか育てたいな
いや、なんとなく

2月26日

寂しさがテーマ

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今日は
来月の個展の時販売する豆本の絵を描きました
おやゆび猫シリーズ第4弾
「せかいのさびしさ」(仮)
一年ぶりの新作です
個展のメインビジュアルである
音叉を持ったかものはし先生とも絡みます

僕は
「寂しい」という感覚が結構好きなんです
ネガティブな意味ではなく
寂しさがあってこそ
世界はお互い関わり合おうとする
孤立が平気なら
何もはじまらない
お互い迷惑を掛け合うことから
世界は、物語は、始まるわけです

小泉政権の時
政府は自立をテーマにかかげ
自己決定自己責任を国民に強いた結果
人は皆孤立して
物語を失い
今の状況があるんじゃないのかな

2月27日

2週間ほど前
友人に指摘された
個展のチラシの日付の間違いを
ようやくなおしました
2010年が2011年になっていたのです(笑)
だれも気がつかないから大丈夫

高をくくってました
個展は来月です
来年来ないでね

2月28日

今日は案内状の宛名書き
いい加減パソコンに住所録を作って
シールを貼ればいいものを
いまだに手書きです
ま、でも
たまに手書きもいいものです
最近は
こういうことでもないかぎり
あまり字を書く機会がないですもんね