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眩い閃光が野良猫艦隊を照らす。 「『マナティー』撃沈されました!」 今回の開戦における野良猫艦隊最初で最後の犠牲である。 「全艦前進。フェイザー斉射三連。『ステラ』は『マナティー』撃沈ポイントの前方に位置、『オルカ』は『マナティー』の生存者の発見と救出に専念しろ。」 クリストファーの冷静で矢継ぎ早の命令が続く。 「カーペンター少佐は勇敢で優秀な士官だっただけに沈められたのは残念ですね。」 ブルーツイスター分隊旗艦の『霧島』内で副官がリュウイチに話しかける。 「先程のカーペンター少佐の行動を見る限り優秀とは言えません。自分のプライドを満足させるための命令違反など言語道断です。さらにあの前進は無謀以外の何者でもありません。勇敢と無謀と混同してはだめです。何よりカーペンター少佐の最大の罪は部下を無意味な危険にさらしたことです。覚えておいて下さい。優秀な士官かどうかは勝利を得た場合に如何に少ない犠牲で済むかによります。別な言い方をすると、より効果的に味方を犠牲にするのが優秀な士官と言えます。その観点でいくとランスフィールド中佐も優秀とは言い難いですね。」 「え!?何故ですか?」 「中佐は非情になりきれませんから意図的に味方を犠牲にする戦術がとれません。現に今でもちょっと苦労して艦隊指揮をしています。意味通りの優秀な士官なら、生存者など無視して最初の戦術通り後退すべきです。」 「しかし、下の者からしてみると安心して命をあずけることができますが。」 「そうですね、そういう方だからこそ無条件に力になりたいと思うものです。それこそ野良猫艦隊の最高の財産です。さぁ、生存者探索援護のために最後にもう一度突入します。その後確実に合流命令がでますので、分隊各艦に合流進路を通達して下さい。」 「はっ、了解しました。」 「分隊突入します!」 「さすがリュウイチ、良いサポートをしてくれる。生存者の方はどうだ。」 「現在探索中ですが、ほぼ絶望と見られます。」 「分隊が時間を作ってくれる、後8分だけ探索を続けてくれ。その後全艦後退、分隊には合流するよう伝えるように。・・・カーペンターめ、まったく・・・」 最後のつぶやきと一瞬の苦渋の表情に気づいた者は誰もいなかった。 「司令!フェイズアウト反応を多数確認!」 |
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