『援軍』
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 「認識コード確認、けんつく艦隊です。援軍が来ました!」
 『マナティー』撃沈により落ち込み気味だった野良猫艦隊に歓声が響く。
 「戦闘母艦1、特殊砲搭載巡洋艦4、重攻撃挺20。辺境パトロールユニットです。」
 「予定より早いな。かなり急いで来てくれたみたいだ。けんつく艦隊の戦闘可能時刻は?」
 「レッドライン内にフェイズアウトしてきているのでおよそ25分後と予想されます。」
 ワープと異なり重力場の影響を受けないフェイズドライブであっても物質密度(宇宙船等を含む)の高い惑星付近へのフェイズアウトには危険が伴う。従って惑星からある程度離れた地点へフェイズアウトするのが鉄則となっているが、今回けんつく艦隊は時間短縮のため、通常禁止されている危険半径を示すレッドライン内にフェイズアウトしてきた。
 「このエイリアン艦隊はもともと彼らが撃ち漏らした艦隊、逃すわけにはいかないというプライドもあるだろうが、危険を冒して来てくれたけんつく艦隊には重ね重ね感謝だ。丁重な感謝の意と現状を連絡してくれ。」
 けんつく艦隊と野良猫艦隊の間で情報の交換が行われた。
 「後25分少々で戦況は俄然有利になる。さて、もうひと踏ん張りしようか。」
 「緊急報告!けんつく艦隊よりのデータにより敵指令艦の主砲回復率が判明!急速に回復中!」
 「やれやれそれほど悪いことはしてきていないはずだが神様は楽をさせてはくれないようだ。回復終了は?」
 「最短で約20分後に発射されます!」
 「タッチの差か・・・本来なら何て事のない主砲なのだが・・・現状で敵主砲の直撃に耐えられる艦は?」
 「本艦と『オルカ』、分隊の『金剛』『明神』の4隻です。」
 「離脱した艦にはいないか?」
 「『ベルーガ』のシールドは回復してますが。」
 「直ちに合流させろ。」
 「しかし『ベルーガ』の武器システムはダウンしています。」
 「かまわん。敵の主砲に耐えてくれさえすればいい。」
 「一体何を・・・。」
 クリストファーはにやりと笑うと答えた。

 「敵さんの戦法を見習うのさ。傷ついた味方を盾にする。」


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